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新種目に迫る トライアスロン(5)
陸上女子マラソン五輪代表の市橋有里(22=住友VISA)は「日本陸連の秘蔵っ子」といわれる。日本陸連が長期的視野での一貫指導を目的に発足させた「東京ランナーズ倶楽部」で英才教育を受けてきた。日本トライアスロン界にも「秘蔵っ子」がいる。陸上長距離から転身した平尾明子(24=NTT東日本・NTT西日本)。今月9日のW杯石垣島大会で3位に入賞し、五輪本番でもメダルを期待されるホープだ。 平尾のトライアスロン競技歴は、2年にすぎない。高校時代から将来有望な陸上長距離選手として活躍し、強豪ダイハツ陸上部に所属。ソウル国際女子駅伝の日本代表にも選ばれた。しかし、チーム方針に疑問が募り、1998年(平10)春に同部を退部。その時、トライアスロンと出合った。夫で当時交際中だったトレーナーの関根陽一さん(32)に紹介され、興味を持った。 陸上で高い身体能力を持ち、おまけに中学校までは競泳選手だっただけに、日本トライアスロン連合(JTU)側の対応は素早かった。「大化けするかもしれない」。そう期待して、直属選手として鍛えることを即決し、98年6月には飯島健二郎強化副本部長(40=全日本チーム監督)に身柄を預けた。 飯島強化副本部長の英才教育は、過酷を極めた。毎朝7時から長距離にわたる水泳、そして上り坂10キロを自転車とランニングで反復する日々は1年間も続いた。トレーニング中は、休憩が昼食時の十数分間しか許されなかった。しかし、その結果はすぐに出た。競技歴わずか1年足らずだった昨年は、W杯シドニー大会11位、同モナコ大会9位、世界選手権13位と急成長を遂げた。 生活費を含めた資金はJTUなどが中心となりサポートしてきたが、今年1月1日付でJTUのメーンスポンサーであるNTT東日本・西日本とスポンサー契約を結んだ。NTT東日本・西日本では「ひたむきに取り組む姿勢、五輪で活躍が期待できる選手ということを考え、サポートすることにしました」とバックアップしている。 競技資金を得た平尾は今年から元ダイハツ陸上部マネジャーの柳沢明子さんを専属調理師として海外遠征に帯同させている。平尾は「陸上長距離をやっていたので食事量がとれないのが課題。1日に何回も食べています」。専属トレーナーは夫の陽一さん。自転車のメカニックも、スイム専任コーチもいる。練習ウエアも「Kappa」と契約を結ぶなど、陸上トップ選手並みのサポートチームができつつある。新天地の頑張りが、新競技でも五輪の主要競技と同じ環境を整えられることを実証した。
(2000年4月17日付) |