<中大スポーツ第41号・11月2日発行>

シドニー五輪銀メダル・真衣スマイル世界一

中大スポーツ11月号の1面 ◆シドニー五輪(9・15〜10・1)

 中村、銀! シドニーの表彰台でひとりの中大生の笑顔が輝いた。女子百メートル背泳ぎの中村真衣(法3)が1分0秒55の日本新記録で見事銀メダルを獲得。最後の5メートルでモカヌ(ルーマニア)に抜かれ、惜しくも金メダルは逃したが、競泳日本女子選手として、6人目のメダリストとなった。

激闘

 「シルバーメダリスト、マイ・ナカムラ」。会場を揺るがす大歓声と、世界中の熱い視線が中村に注がれる。表彰台に上がった中村は笑顔で応えるパフォーマンス。首にかけてもらったばかりの銀メダルをまじまじと見つめ、つい数分前の激闘を思い起こしていた。

 女子百b背泳ぎ決勝。心臓が波打つ。中村は期待と不安と、これ以上ない緊張の中で運命のレースを迎えていた。もちろん狙うのは表彰台の真ん中だけ。金メダルだけを奪うために、生活の全てを水泳にささげてきた成果が試される。プール中央5コース。右隣り4コースには、最大のライバル・モカヌがいる。昨年の世界ランク27位のわずか16歳。準決勝では中村のベストタイムを超えるタイムをたたき出している。「自分の泳ぎが出来るように」。そう言い聞かせながらも、思いがけない伏兵の出現に動揺は隠せない。

 震える手でゴーグルを確かめ、ついにスタート。得意のバサロは12回。いつものように最後に水面に姿をあらわし、体半分の差をつけて前半を折り返す。前半の入りは世界記録ペースの29秒17。後半はそのリードを保ち、1分0秒台前半でタッチする。すべては何度も頭の中で思い描いてきたレース展開通り。ラスト5メートル、モカヌに抜かれるまでは。

 

満足

 2位、銀メダル…。電光掲示板は無情の数字を表した。コースロープにぶつけた左手がズキズキ痛い。苦痛に顔をゆがめて一層"敗北"を実感する。「嬉しい。本当に嬉しいです」。世界で二番目という事実。悔しいのか嬉しいのか、自分でもよくわからない。それでも口を突いて出た言葉は「嬉しい」だった。精一杯出来ることはやった。その満足感が中村に本来の笑顔を取り戻させた。

 「まだまだ水泳はやめません。とりこぼしたものがありますから」。どこまでも前向きに、どこまでも負けず嫌いにニッコリ笑って見せた再出発への誓い。涙は取っておこうと思った。いつか来るはず、心から笑ってフィナーレを迎える日のために。


水泳部・インカレ7連覇、全員でつかんだ栄冠

◆第76回日本学生選手権水泳競技大会(10・6〜8 横浜国際プール)

  今年も"水の王者"中大がインカレを制し、日大に次ぐ史上2校目の7連覇を達成した。リレー3種目制覇こそならなかったものの、出場選手27人中22人が入賞。確実に得点を重ね、2位以下を大きく突き放して圧勝した。初日から田中雅美(法3)や源純夏(法3)が大会新を出すなど、シドニー五輪出場選手の活躍も光った。

歓喜のあまりガッツポーズするウ・チョル よもやの敗戦

 リレー全3種目を制しての7連覇を今大会の抱負としてきた中大。初日の四百メートルリレーは、2位筑波大とわずか0秒39差で優勝を勝ち取った。しかし、2日目の四百メートルメドレーリレーでは、ついに筑波大をかわすことがなかった。2位。昨年の同種目、やはり筑波大との接線の末、勝利を収めていたこともあり今年も混戦が予想されていた。

 競技が終わっても、プールから上がれずにいる第4泳者奥野智裕(総3)。その現実を受け止めるには、少しの時間を要した。「中大がどうこうではなくて、(優勝した)筑波がすごかった。筑波をたたえたい」(児島康介主将・法4)。

 そして迎えた、八百メートルリレー。大会最終日を締めくくるこの種目は、各大学の応援もピークに達する。「チャンピオンチームにしか校歌を歌うことは許されてないけど、あれで盛り上がった」(高橋コーチ)。

面目保ち満足

 興奮に包まれた場内が静まる。スタート台に立った選手が電子音とともに飛び込むと、再び応援が始まった。第一泳者の近藤啓太(文3)は、百メートルまで筑波にリードを許す。だが百五十メートルターン。ついに1位で折り返す。続く市川洋介(法4)、佐々木武(商4)も声援に後押しされるように筑波大との差を広げ、第四泳者ウ・チョル(経4)へ。歴然の差だった。5秒差でのゴール。水の王者としての泳ぎを見せつけた。「八百メートルリレーで勝ってこそ中大。中大の証でもある」(高橋コーチ)。4人は観客席に向かってガッツポーズを見せると、もう一度プールに飛び込み、嬉しさを表現した。

「優勝できてほっとしている。でも悔しさが残る優勝。付け入る隙のないチームになってほしいと、児島主将は後輩に思いを託す。全種目制覇、そして10連覇達成という偉業に向け、また新たな一歩を踏み出す。

写真=歓喜のあまり大きくガッツポーズするウ・チョル


ハンドボール部・鉄壁ディフェンスで7連勝、リーグ戦制覇

◆秋季関東大学リーグ戦(9・16〜10・9 水海道市民体育館他)

 強豪ひしめくリーグ戦で圧倒的な集中力と団結力で全勝優勝。2年連続、14度目の偉業を成し遂げた。途中、ライバル日大の優勢が続く場面もあったが最後は粘りで強豪達をねじ伏せた。勢いに乗る中大。リーグ戦をステップに最大の目標であるインカレ制覇に大きく前進した。 リーグ優勝に喜びを爆発させるハンドボール部

覇権争い

 春季リーグ3位、そして東日本インカレ3位と勝利まであと一歩足りなかった。常に立ちはだかってきた王者日大。その日大は「最大のライバルは中大」と公言する。日大と中大。春からの覇権争いは今大会も第5戦で実現する。

   勝てばリーグ戦王者に近づく天王山。予想通り、前半から激しい攻防が展開される。「どうしても負けられない相手」とこの一戦に全てをかける佐藤豪洋主将(法4)。日大の攻撃中心のプレーは今回も健在だった。常に前線でボールを奪い合うプレー、サイドからディフェンス陣をかいくぐっていく攻撃に苦しめられ、1点、2点とリードを許してしまう。徐々に日大のペースにはなり、点差は広がっていった。前半は7対12で終え、同じ展開にはまった春と夏の試合が思い出される。

 「ここで逃がしたら挽回のチャンスはない」(佐藤主将)。勝ちを信じて臨む後半戦。これまで力を入れてきたディフェンスは攻撃を完全に受け止める。得意のディフェンスが完全に機能してくれればもはや中大ペース。その後は攻撃へも持ち込む余裕も出来て、津にリードを重ねる。勢いは最後まで衰えず、後半14対20と日大の厚い壁を打ち破った。

 そして日大を倒した勢いはさらに加速。続く日体大、国士大も撃破。今大会、負け知らずの快進撃で全優勝を成し遂げた。

写真=リーグ優勝に喜びを爆発させるハンドボール部


▼第29回▼明暗分けた出雲路

連載・箱根への道の題字

 ◆第12回出雲全日本大学選抜駅伝(10・9 出雲大社〜浜山公園陸上競技場)

 好対照の4年生の姿が印象的だった。攻めの走りで2区区間賞の板山学(経4)とケガに屈した永井順明(法4)である。

 両者ともにインカレでは奮わなかった。調子を上げることに成功したのは板山。「絶対離れるわけにはいかなかった」。6位で受け取ったタスキを2位でつなぐ、4人抜きの快走を見せた。

 対して永井は6区を走り区間9位。これまでの実績、評価を考えれば屈辱の成績だ。7月からのケガが再発してしまい、神門通りで失速。レース後もうなだれたまましばらく動けなかった。「4位に終わったのはすベて自分のせい」。つかみかけていた自信は、もろくも崩れた。「とにかく足を治すこと」と当面の課題とし、伊勢の出場も辞さない構えだ。

 「すごく自信がついた。ハコネでは2区を走りたい」(板山主将)。「このままだとハコネに間に合わないかも」(永井)。今後の二人の道に明暗が出なければ良いのだが。

◆大会結果 @順大 A山学大 B駒大 C中大


第4回 川村六郎氏(京王百貨店取締役会長)


「真摯たれ」


人生いろいろの題字  各界で活躍するOB、OGをたずねる『人生いろいろ』。第4階配点経営の百貨店業界にスーパーマーケット業界の主流であったチェーンストア理論を取り入れ、見事成功を収めた川村六郎氏(65)です。

――中大卒業後の経緯は
川村氏 京王電鉄で駅勤務を一年、車掌を一年やっていた。よくキセルした学生を捕まえていたよ。28歳のときに京王ストアに出向し、係長としてゼロからストア作りにかかわった。京王百貨店では百貨店業界を変えるぞという意気込みで社員の意識改革に取り組んだ。初めはみんな抵抗もあったが一つ一つ紐解いていき解決していったよ。今では百貨店業界からの評判も良く、全国から見学に来るほど。改革には成功したと思うね。

――調理師免許をもたれているそうですが
川村氏 京王ストアには食品売り場があったので取得した。運送会社の社長が車の免許がなくては話にならないのと同じだよ。現場を知ることは大事だから店長にはみんな受けてもらった。お客様へのおもてなしの精神から茶道にも取り組んでいるよ。

――経営の魅力は

川村氏 経営者には売上日本一にしたい、こういう会社にしたいなどロマンがある。逆にロマンがなくてはやっていけないからね。

――会長のロマンは
川村氏 ユニークさ、京王らしさを明確にした百貨店を作りたい。「新大衆百貨店を目指す」をスローガンに、ロマンはほぼ達成されたと思うよ。

――中大の学長になったら
川村氏 大いにやりたいね。大学も会社経営のようにしなくてはならない。業績評価を取り入れて、実力がない教授を切るようにシビアな経営をしなくてはね。

――今の学生へ
川村氏 「今の日本がさまざまな分野で構造改革が迫られている時代。その中でたくましくなっているのは百貨店業界だけなんだよね。このままではほとんどの分野で世界からおいていかれてしまう。最低ツールとしての語学力、パソコンは出来るようにしてほしいね。

 盛岡一校時代には体操で国体に出場したという川村氏。私たち大学生には「真摯たれ」という言葉を送ってくれた。まじめでひたむきに。この精神は業界で人目おかれる存在にあっても変わってない。

▼川村六郎氏プロフィール
かわむら・ろくろう 昭和10年5月23日生 昭和34年京王帝都電鉄(現時の京王電鉄)に入社する。2年後(株)京王ストアの設立に参画し、平成2年同社の取締役会長に就任。平成5年には(株)京王百貨店に出向し取締役社長を勤める。平成12年には取締役会長に就任し、現在にいたる。

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