駅伝カット ニッカンスポーツ・コム >>駅伝トップ >>
スポーツ法政コラム「オレンジ特急箱根行き」

「土井だ!土井が来た!!」

<スポ法の箱根駅伝予選会リポート>

 今年1月に行われた第78回箱根駅伝。法大のたすきがスタートしてからわずか28・6キロで途切れたのは、記憶に新しいところだろう。

 エースの象徴でもある花の2区を任されたのは、学生長距離界No.1の異名を持つ徳本一善(現日清食品)。大学生活最後のレースとなる箱根駅伝でも、多くの人を魅了するような走りをしてくれるだろうと期待されていた。しかし沿道、テレビで観戦していた者が目にしたのは、成田監督に制止され、泣き崩れる徳本の姿だった。原因は、右足アキレス腱損傷及びふくらはぎの肉離れ。

 法大のエースと呼ばれる彼が、どうして走っていないのだろう。

 出場選手の中で一番強いはずの人が、どうして泣いているのだろう…。

 あまりに早すぎる途中棄権に、夢を見ているのではないかと錯覚してしまうくらいだった。


 それから9カ月半。法大は2年ぶりに予選会の場に現れた。参加34校、出場選手は400人を超えている。普通ならば、どこに選手たちがいるのか探すのに一苦労のはずだ。しかしこの日の彼らは遠くからでも見つけることができた。なんと、出場12人全員の髪の色が鮮やかなオレンジ色になっているのだ。もともと髪の色が明るいことで有名なチームではあるが、さすがにこれには衝撃を受けた。選手たち曰く、「法政にしか出来ないことをやろう」という気持ちの表れなのだという。確かに、こういうことを出来るのは法大だけだろうなぁと、妙に納得してしまった。

 私たちがゴール地点に着いた時、そこにはすでにたくさんの人が集まっていた。今か今かと選手たちを待っている。少しでも前で見ようとみんな必死だ。

 スタートして50分を過ぎ、もう来るころかな…と思っていたその時、誰かが叫んだ。

 「土井だ!土井が来た!!」

 先頭でゴールにたどり着いたのは法大のエース・土井洋志だった。9月の日本インカレのハーフマラソンで優勝、この予選会でも上位で来てくれるとは期待していたが、まさか1位でゴールに飛び込んでくるとは。

 「すごーい、土井さんが1位だよー!」

 「土井さんラストー!!」

 私たちの興奮は絶頂に達した。嬉しくて、叫ばずにはいられなかった。

 土井が1位でゴールした。それに次いで、黒田、長嶺、有原が上位に入った。箱根をまだ経験していない1、2年生も確実に力をつけてきていることをアピールした。

 徳本が卒業し、絶対的な柱がいなくなったとも言われた法大。だがこの予選会で、本戦でも十分戦える戦力が整いつつあることがわかったと言っても過言ではない。

 予選通過が決まったあと、成田監督から出た「今日走った者は、明日の練習は休み」宣言に、みんな喜びをあらわにしていたのが印象的だった。しかし安心してはいられるのも束の間、11月に入ってすぐ全日本大学駅伝を控えている。箱根駅伝に向けてはずみのつくようなレースになることを祈るばかりだ。

 箱根駅伝での目標は、もちろんシード権確保。9位以内に入ればいいというのではなく、出るからには上位を狙っていく。

 正月もオレンジ色の髪で登場するかは、まだ選手たちにもわからない。けれども「法政にしか出来ない何かをやらかします!!」という土井の言葉は、きっと現実のものになる。そして日本中の注目を集めるような走りを見せてくれる。そう思わずにはいられない。
(望月春香)


※次回は10月30日(水)更新、「全日本大学駅伝に向けて」(仮)をお届けいたします。

協力大学スポーツ新聞






インデックス -速報 -野球 -サッカー -スポーツ -バトル -競馬 -芸能 -社会 -TV -レジャー
・nikkansports.comへのメールには、住所、氏名、電話番号を明記して下さい。
メールの宛先=webmast@nikkansports.co.jp

・nikkansports.comはインターネットエクスプローラー4.0、
Netscape4.0以上でご覧いただけます。

・nikkansports.comに掲載の記事・写真・カット等の転載を禁じます。
すべての著作権は日刊スポーツ新聞社に帰属します。
Copyright2002,Nikkan Sports News.