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第78回東京箱根間往復大学駅伝競走:2002年1月2日(往路)3日(復路)

神大、駒早抜いて逆転往路V

<第78回箱根駅伝:往路>
◇2日◇東京・大手町〜箱根・芦ノ湖、5区間107・2キロ◇出場15校

 未完のエース吉村尚悟(なおさと、2年)が、神奈川大を4年ぶり3度目の往路優勝に導いた。トップと1分13秒差の3位でタスキを受けた山登りの最終5区。区間2位の好走で駒大と早大をぶっちぎり、逆転でゴールに飛び込んだ。技術も戦術も知らない野性児が、箱根の山で輝いた。優勝候補の駒大が23秒遅れの2位。総合連覇を狙う順大が3位。学生トラック界のエース、法大・徳本一善(4年)が2区の7・3キロ地点で棄権するアクシデントがあった。復路は今日3日、5区間109・2キロで行われる。

 宿舎で震えていた脚は、止まっていた。トップの駒大から1分13秒。吉村が青いタスキをむしり取る。箱根の山に飛び出した。意気込みとは逆に2、3キロ過ぎるとわき腹が痛み出した。ペースを抑えて、走るしかない。これが後に功を奏したのも、吉村の体が発した野性の勘なのか−。

 前との差をじわじわ詰め、15キロ手前で2位早大・五十嵐をかわした。16キロすぎには、駒大・田中をちぎった。中継点ごとに首位が変わる戦国駅伝。天下の険は、最後に自然児を歓迎した。「最初は横っ腹が痛くなったけど、それが幸いしてうまいこと体力が蓄えられました」と振り返った。

 大後栄治監督(37)は「(吉村は)未知数だったけど、前に人がいれば追いかける彼の野性味にかけました」と評価する。5区起用が決まったのは、クリスマスが過ぎてから。正攻法では勝てない。「花の2区」候補だったエースに、山を登らせた。吉村頼みのオーダーがピタリ当たった。

 前を追う。都庁の3・4倍=834メートルのこう配を前にしても、吉村はシンプルに走った。コースはよく知らない。設定タイムもない。本能の走り。技術指導を受けたこともない。駆け引きも知らない。だが、大後監督は「10年に1人会えるかどうか分からないくらいの選手。彼を育てられなかったら、指導者として失格」と言い切る。

 強いメンタルと筋力が魅力の、未完の大器だ。1年時の全日本大学駅伝では、スタート2分前に靴下をはくなど、関係者をハラハラさせた。将来への伸びしろが、存分にある。神奈川大が箱根を連覇した97〜98年の記憶は「ほとんどない」。中学3年の時、教室に張り出した目標には「神奈川大で箱根を走って優勝したい」。根拠なく書き、夢を実現させた運もある。

 前回優勝時、神奈川大は「金太郎アメ」と呼ばれた。エースはいないが、どの選手もそこそこ走る。勝てなくなって丸3年。ついに柱ができて、再び頂点に立った。「総合優勝なんて考えてもいない。うちのチームが完成するのは、来年なり再来年」と大後監督。2年後、吉村はユニバーシアードのハーフマラソンで金メダルを狙う計画がある。本能の走りは、チームとともに進化する。【佐々木一郎】

 ◆吉村尚悟(よしむら・なおさと) 1981年(昭和56年)12月5日、三重県青山町生まれ。青山中から陸上を始める。上野工高では2、3年時の高校駅伝でともに1区20番台。インターハイ5000メートル予選落ち。昨年の日本インカレ1万メートル7位。1万メートルの自己ベストは28分30秒71。前回の箱根駅伝は7区2位。現在は経済学部2年。176センチ、59キロ。

(写真=歓喜のガッツポーズでゴールテープを切る神奈川大・吉村)


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