日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。

アニメ・ゲームコラム

ゲームセンターCXスタッフここだけ話

ゲームセンターCXスタッフここだけ話

「ゲームセンターCX」CSフジテレビONEにて放送。よゐこ有野がファミコンなどのレトロゲーム攻略に挑む。番組DVDは累計55万本超えのヒットを飛ばし、放送開始10年には武道館イベントや映画化など、今やゲーム番組の代名詞に。国内のみならず海外でも人気が高い。番組作りのウラ側から知られざるエピソードまでスタッフが紹介。

ゲームセンターとヤンキーと 前編

[2015年2月24日10時59分]

  • TL
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

GCCX有野課長のコメント

 どーもGCCX課長の有野です。岐部先生は課長のことより「僕が作った物語を読んで欲しいです」と、この連載で小説家への道を拓こうとしています。貪欲作家め! て、ことで楽しくお読み下さい。

【ゲームセンターとヤンキーと 前編】

 「いいですか? 学校が早く終わったからって、くれぐれも悪さしないでくださいね。何かあって校長先生に怒られるのは私なんですから」

 「はーい!」

 身長が190センチもあるのに気が小さく、細かいことにネチネチとうるさい担任のシミケン先生が、きょうの学校の終わりを告げると、いつもは空返事しかしない反抗期を迎えた生徒であふれるこの教室にも、元気な声が響いた。

 いよいよ家庭訪問が始まる。もちろん、担任が自宅に来ることが嬉しいわけではない。この期間は学校が半日で終わるため、午後から遊び放題という、ゲームで言うならボーナスステージ的な非日常感に、みんな浮かれているのだ。

「じゃあな、キーちゃん!」

 中学で再び同じクラスになったエロい知識なら誰にも負けないエロジュンが、マサミチの返事を待つことなく、いの一番に教室を飛び出した。そういえば、大学生になって家を空けた兄がこっそり所有していた「桜林レイ」のお宝ビデオを発掘した、と朝からそわそわしていたっけ。親が仕事から帰ってくるまでのチャンスタイムを逃すまいと、きょうは駄菓子屋のカワダに寄り道せず、F-ZEROの任天堂公式記録に挑むがごとく最短ルートで帰るのだろう。

 そんなエロジュン同様、マサミチの心も踊っていた。とはいっても、その脳内にエロい気持ちは微塵もなく、別の妄想でいっぱいだったのだが。

 マサミチは競歩の選手のように急ぎ足で帰路につくと、かばんを放り投げ、財布と自転車のカギをひっつかんで、さっき開けたばかりの重たい団地のドアが閉まるまでの間に家を出た。まるで、RPGで街から外に出たのに十字キーを押しっぱなしにしたせいで、うっかり街に入り直してしまった時くらいのイン・アウトの速さだ。

 鋭利なハンドルの形から、子どもたちの間で「カマキリ」とよばれていたマサミチの人生で二代目となるオンボロ号にまたがると、ラスト1周を迎えた競輪の選手のように、サドルに腰を落とすことなく、必死にペダルを漕いでいく。

 まだ春先だというのに、スズノヤに到着した頃にはうっすらと額に汗が伝っていた。スズノヤは、マサミチが大きくなるまでデパートと思い込んでいた大型スーパーである。

 両手でパタパタと顔を仰ぎながら店内に入り、配置上、通らざるを得ない女性用下着のコーナーをうつ向きながら駆け抜けると、マサミチの視界には期待通りの光景が広がっていた。

(やった! 誰もいない!)

 がらんとしているゲームコーナーで、マサミチが一目散に目指したのは、「ストリートファイターII」の筐体だった。

 ずっとこの時を待っていた。

 この手で昇竜拳が出せる日を。

 ところが、そこには、待ちガイルよりも手強い相手が立ちはだかるのであった。(続く)

【放送作家 岐部昌幸】

※続きは3月25日公開予定

  • TL

ゲームセンターCXスタッフここだけ話の最新記事

Ads by GooglePR

アニメ・ゲーム最新ニュース

見られたのは300人中140人のプレミアム試写会

アニメ・ゲームランキング

記事

もっと見る 閉じる
ページTOPへ