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GCCX菅Pコラム 50歳AD@笑いの現場

GCCX菅Pコラム 50歳AD@笑いの現場

1964年生まれ。「ゲームセンターCX」プロデューサー。「vs嵐」ディレクター。「秘密のケンミンSHOW」ではフロアでカンペも出す現役最年長AD。過去には「4時ですよ~だ」「冒冒グラフ」「タモリ倶楽部」etc.バラエティー番組を中心に約4,000本を担当。 映画「風花」「血と骨」のメイキングも。

最終回…そして東京へ

[2016年10月25日12時22分]

  • TL
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 朝の連続テレビ小説「あまちゃん」で一番好きなシーンは主人公アキが故郷を離れ上京するところ。列車の向こうでは祖母夏ばっぱが大漁旗を振り孫を送り出す。どちらも涙。田舎者にとって誰の背中にも「夏ばっぱ」がいるのだ。皆が歯を食いしばって腹を括って東京にやって来る…。

 最初の上京時に住んだのは川崎だったので今回はどうしても都内に住みたい。憧れは《下北沢》初めて訪れた時そのオシャレさにKOされたのです。

 「なんだ? この街は…」

 小径に小さな雑貨店。品のある喫茶店(メチャ高い)や古着屋…。大阪にはないエレガントな街です。駅近の古いアパートに決めました。

 引っ越しといってもほとんど新しく買うので業者に頼むほどではありません。どうしようかと思ってたら父親がトラックで大阪から持って行くと。実家が鋼材屋なので4tトラックを運転していたのです。

 僕が先に新幹線で上京し翌日トラックが到着しました。父親が一人で来ると思っていたら母親も同乗しています。息子の新居を見たかったのでしょう。多くない荷物を降ろして部屋を整理したら1時間も掛からなかった。

 「なんか近所に食べに行く?」

 「いやもう帰るよ~」

 せっかく東京まで来たのに観光など一切するつもりはない。そそくさと帰っていきました。下北沢の街の中に消えて行く菅商店のトラック…。気づいたら号泣(笑)

 30歳で縁もゆかりもない土地に行き、一からスタートする。うまくいく可能性なんて1つもありません。これが20代だったら失敗も許されそうですが、この歳ではそうもいかない。ホントなら孫を抱きたい年齢なのに…親孝行ひとつ出来ていません。自分が情けなくなって涙がこぼれたのです。

 「何やってんのかなぁ~」

 僕もまた大漁旗を振られて送り出された1人。

 その後フジテレビで番組につきます。ごっつ班が作る「冒冒グラフ」。今田東野板尾という才能溢れる3人のMCと作る帯番組でした。小須田Pは面白い事を最優先に考えろ、何かあっても謝るのは俺の仕事だからDはブレーキを踏むなと。この教えは自分がPになった時とても重くのしかかりました。凄いことです。ここで東京のやり方を覚え、フジテレビのバラエティ作りの基本を学びました。ちなみに妻はこの番組のTKさんです。

 その後王東順Pに認められてゴールデンの番組の演出に抜擢されました。フジテレビの一番大きなスタジオのD卓に座った時、感動したのを覚えています。

 「俺もついにここまできたか…」

 1人遠くの方を眺めてました(笑)

 番組は短命だったのですが人脈が広がっていきます。その時のADが後のゲームセンターCXの松井P。阿部カメラマンとは上京してすぐのロケで一緒になり同学年ということもあり仲良くなります。酒井健作はロンブーの番組が最初だったかなぁ。

 怒髪天が歌ってくれたGCCX映画の主題歌。その中に大好きなフレーズが…

 「旅の途中で出会う仲間たち 焚き火囲んで乾杯すれば明日もやれる」

 おのれ1人できる事などたかが知れてます。テレビは1人じゃ作れない。今までもこれからも様々な人に助けられて進んでいくんだと思います。

 上京してからも紆余曲折色々あるのですがそれはまた別の機会に記します。お付き合いありがとうございました。

 今日もまた52歳のADはスタジオでインカムをつけて吠えています。

 

 《雑記》約2年に渡りコラムを書くことができ自信になりました。文才のなさに辟易としボキャブラリーの貧しさにア然とする事も。それでも時々楽しみにしてるという言葉に励まされたのです。またどこかで…(菅)

  • TL

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