<社会人野球日本選手権:ヤマハ2-1日産自動車>◇18日◇2回戦◇京セラドーム大阪

 ヤマハが投打のルーキーの大活躍で、日産自動車に2-1で逆転勝ちし、95年大会以来13年ぶりのベスト8進出を決めた。投げては2戦連続先発の岡本洋介(23=国士舘大出)が粘り強い投球で、8安打1失点の完投勝利。打っては5番小粥(おがい)勇輝左翼手(23=浜名高、亜大出)が7回裏に、今秋のドラフトで西武2位指名の野上亮磨投手(21)から決勝本塁打を放ち勝負を決めた。ヤマハは21日に準々決勝で、地元・大阪の日本生命と対戦する。

 岡本が抑え、小粥が打った。明日のヤマハを背負う投打の新星が、大仕事をやってのけた。1点リードの9回表2死一、二塁。最後の打者を計算通りの三塁ゴロに打ち取った岡本が、派手なガッツポーズで喜びを爆発させた。「小粥が(本塁打を)打ってくれたので『これでいける!』と気合が入りました。初回に真っすぐを狙い打ちされてから、変化球主体に変えたのが良かった」と声を弾ませた。左肩が本調子でない吉岡投手に代わり、2戦連続の1失点完投で、右のエースにのし上がった。

 小粥も男になった。1-1で迎えた7回までの2打席は、連続三振とまったくダメ。西武入りが決まっている好投手野上に手も足も出なかった。「監督に代打を出されるかと思ったら、怒った顔で『しっかり振っていけ!』と送り出されて」必死だった。外角の速球を待っていたところに低めに遅いカーブが来た。すくい上げるようにバットに乗せた打球が、左翼フェンスぎりぎりを越える勝ち越し本塁打。「うれしいというか、ほっとしたというか…。本当によかった」と感慨深げに振り返った。

 チーム全体ではわずか4安打も、本塁打2本での効率良い勝利に高柳信英監督(55)も笑いが止まらない。「投打のルーキーに尽きます。(7回は小粥に)代打かなと思ったけど『何かやってくれそう』と思い直したらホームラン。びっくりしました」と笑った。名門ヤマハが、勢いに乗ってきた。【大石健司】