仙台6大学野球春季リーグ戦の開幕を18日に控えた東北学院大に“イチロー”が入部した。センバツ21世紀枠で07年春の甲子園に出場した山梨・都留高エース小林久貴(1年)で、1浪の末に今春、一般入試で同大に合格。投球練習は1年以上遠ざかっているが、身長180センチの最速143キロ右腕は、体を鍛え直して、甲子園から神宮を目指す。

 既にリーグ登録を済ませている東北学院大に「20人目の投手」が加わった。6日に入学式を終えた小林はこの日から、ほかの1年生らとチーム練習に参加。練習補助をしながらストレッチやランニングなどをこなした。久しぶりに練習着を着込んだ小林は「みんな自主的に取り組んでいる。高校とは違う。ちょっと不安ですが、体をつくり直して、ついていけるようにしたい」と謙虚に話した。

 07年センバツに21世紀枠で出場。今治西(愛媛)との初戦は、8回に逆転され2―3で敗れた。昨年は東京6大学リーグなど数校から誘いがあったが、国立大受験に専念。だが失敗して浪人生活を送っていた。野球を続ける気持ちは薄かったが、復帰のきっかけは、東北学院大OBの西武岸孝之投手(24)の活躍。岸が育った野球環境を、雑誌などで知った小林は「同じ環境で、もう1度やってみたい」と入学を決めた。

 入部志願は合格発表後。部員61人の現チームで6人目、投手では3人目の甲子園経験者だ。岸を育てた菅井徳雄監督(52)は「まずケガをしないように体力を戻すことだね。無理をさせてつぶしたくない」と温かい目で見守っている。

 高校時代は最速143キロの速球とスライダー、カーブ、チェンジアップ、ナックルが武器。当分は遠投やキャッチボール中心で、実戦登板は早くても秋以降になる見込みだ。将来のエース候補は「神宮で投げてみたい。とにかく一から始めて、どんな形でもチームの力になりたい」と、自身2度目の全国舞台登板に夢を広げた。【佐々木雄高】