<東都大学野球:中大2-1国学院大>◇第7週初日◇19日◇神宮

 1回戦3試合を行い、今秋ドラフトの目玉右腕、中大・沢村拓一投手(4年=佐野日大)が国学院大に延長14回完投勝利を挙げた。ヤンキースなど日米12球団スカウトの前で、最速154キロ、散発8安打6奪三振1失点にまとめた。

 延長14回、156球を投げ終えた沢村は、涼しげな表情で会見場に現れた。「疲れてないです。15回でも20回でもいけました」。驚異のスタミナで見せつけた投手戦に「ものすごく楽しかった。観客を魅了できたと思う」と満足げだ。

 痛みに耐えた2時間50分だった。1回先頭打者の打球が左手首にあたりテーピングをして臨んだ。そんな状態でも最速154キロを記録。9回2死二塁、サヨナラ負けのピンチでは勝負したい気持ちを抑え、5番田渕を敬遠して勝利に徹した。

 残り少ないドラフト前の登板に、ネット裏には日米12球団のスカウトが集結。広島苑田スカウト部長は「いつもよりコースは甘い気がするけど、ここまで放れるのは立派なもん」と変わらぬ高評価を与えた。プロへのアピールの時期は終わったという右腕が欲するのは、6年ぶりの優勝だけ。勝ち点2が4校並び、白星は落とせない。「とにかく次まで、必死になってやりたい」と力を込めた。【鎌田良美】