紅白戦で力投する吉田輝星(撮影・井上学)
紅白戦で力投する吉田輝星(撮影・井上学)

日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(48)が日本ハムの紅白戦を視察し、ドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)と同5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)の投球をチェックした。昨夏の甲子園決勝を投げ合った2人は、どちらも実戦向きとの見解だ。

   ◇   ◇   ◇

吉田輝、柿木と昨夏の甲子園決勝を投げ合った2人の先発だったが、経験値が高く、実戦向きと感じた。

吉田輝は今日に限れば、疲れからかボールにキレがなく、迫力を感じなかった。ただ横尾の2-1からのファウルなど「このカウントは稼ぎたい」というところでリリースのインパクトの強さを感じさせる直球を投げていた。身長が175センチで、角度を生めるダルビッシュ、大谷タイプではない。体のキレ、コントロール、配球や空間での勝負に磨きをかけなければならない。

バランスのいいフォームで下半身も右足から左足へと体重が乗り、上半身へと力を伝えて、トップにいい形で入っている。そこから「少し詰まらせよう」「少しタイミングを抜こう」とリリースの最後の強弱で、バッターとの空間の中での変化をつけてほしい。川上憲伸はそういうタイプで吉田輝も似ている面がある。

柿木は面白い存在だ。直球が動いていて、球の切れで勝負している。踏み出す左足が地面に着きそうで着かない独特のタイミングで、間がひとつできている。高校の時から大舞台で投げており、ちょっとしたマウンドさばきに落ち着きがあり、いいテンポで投げていて自滅するタイプではない。4月に1軍で投げている可能性もあると思う。

日本ハムがうまいと思うのは甲子園の優勝投手、準優勝投手をそろえたところ。例えるなら田中将大と斎藤佑樹が同じチームに入ったようなもの。ライバルとして負けたくない思いが、今日は柿木に表れていたように感じた。決勝で戦った2人が切磋琢磨(せっさたくま)して成長し合う構図を作っている。栗山監督に聞くと、順調に行けば2人ともオープン戦でどんどん使っていくと話していた。いろいろな課題を差し引いても、現段階で首脳陣に上で投げさせてみようと思わせる存在だ。(日刊スポーツ評論家)

帽子を飛ばしながら投球する紅組先発の柿木(撮影・江口和貴)
帽子を飛ばしながら投球する紅組先発の柿木(撮影・江口和貴)