2回裏白組2死一塁、マルテは左飛に倒れる(撮影・上山淳一)
2回裏白組2死一塁、マルテは左飛に倒れる(撮影・上山淳一)

元横浜日本一監督で野球評論家の権藤博氏(80)が26日、阪神新外国人のジェフリー・マルテ内野手(27=エンゼルス)を厳しく分析した。沖縄・宜野座キャンプで紅白戦を視察。11日の紅白戦華々しく本塁打デビューを飾った後、実戦形式が12打席無安打と快音が消えた中軸候補のフォーム的弱点に鋭く切り込んだ。【取材・構成=松井清員】

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マルテは体格は良いが、スイングはいかんな。ドアスイング気味でさっとトップがつくれないから、差し込まれたり引っかけたり。今日の紅白戦は来た球を全部打ちにいっていたが、全球タイミングが合ってなかった。見送り方を見ても全く合っていない。引きつけられず、踏み込めずで、かなり苦しい打撃だ。味方同士の紅白戦でこれだから、敵と戦う公式戦ではもっと内角を攻められて苦しみそうだ。

初回の第1打席は西の内角真っすぐに差し込まれて左飛。4回の第2打席は岩崎の外のチェンジアップを注文通りに引っかけて二ゴロ。6回無死一、三塁の第3打席は、斎藤の甘い真っすぐを仕留め切れずに遊ゴロ併殺打。5番期待の外国人なら、本塁打にしないといけない球だ。後ろを打った新人近本の方が、よほどしっかり振り切れていた。

三振してもいいぐらいグインと振らないと相手も怖くない。でも今の打ち方ではタイミングが合わないから振り切れない。一方のナバーロはヒットこそなかったが、見送り方も含めて全球タイミングが合って、痛烈な打球を飛ばしていた。今年は長打を意識した打撃に取り組んでいるようで怖さもあり、このままなら一塁はナバーロか絶好調の木浪だ。打てない上に一塁守備も雑で、投手も心もとない。

現状、シーズンでの活躍は期待薄と言わざるを得ない。ただ救いを求めるなら、外国人は激変する可能性があることだ。私が横浜コーチ時代の97年、ヤクルトにホージーという新外国人が来た。キャンプは全くのノー感じで、ヤクルト監督のノムさんが「何でこんな外国人取ったんだ」とボヤいていた。ところがシーズンで激変し、本塁打王まで取ってリーグ優勝に貢献した。

こういう成功例はめったにないが、外国人は分からない部分も多い。米国では結果を出してきたから阪神も取ったはず。変化球中心の日本の配球に戸惑っている部分もあるかも知れない。コーチ陣の助言をはじめ何かのきっかけで変わる可能性はある。矢野監督も去年キャンプで好調だったロサリオと反対になることを、強く願っているだろう。

阪神キャンプに訪れた権藤氏(左)は矢野監督と話す(撮影・奥田泰也)
阪神キャンプに訪れた権藤氏(左)は矢野監督と話す(撮影・奥田泰也)