日刊スポーツ評論家の和田一浩氏(46)が、10勝6敗の4位でオープン戦を終えた巨人を評論。丸の加入がもらたす効果に着目した。

巨人対ロッテ 7回裏巨人2死、丸は左中間にソロ本塁打を放つ(撮影・浅見桂子)
巨人対ロッテ 7回裏巨人2死、丸は左中間にソロ本塁打を放つ(撮影・浅見桂子)

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巨人にとって、丸の獲得は想像以上の大きなメリットが望めそうだ。本番前の最後のオープン戦でも本塁打をマークし、守備でもファインプレーを披露。単純に打撃で3割30本が期待できるし、守りにおいても重要なセンターを任せられる。たった1人の存在で、チームの選手層が分厚くなった。

“丸効果”が大きいのは、1番を打つ吉川尚だろう。昨年までは俊足の左打者に多く見られる“走り打ち”だった。しかし今年は丸をまねしているのかどうかは分からないが、打ちにいくときに「ヒッチ」を取り入れ、しっかりとバットを振り切るスタイルにモデルチェンジ。打順的にも坂本勇、丸、岡本と続く打線は脅威だ。1番を打つ吉川尚には無駄な四球を出せず、ストライクゾーンで勝負しなければいけない。もともと俊足だし、打撃力がアップした吉川尚なら、かなりの得点源になれる。

守備陣を見ても、しっかりした。守りで重要とされるセンターラインは二塁を吉川尚、遊撃を坂本勇、中堅を丸で固定。捕手は炭谷と小林のどちらがメインでも大丈夫。攻守においてチームの“背骨”が出来上がった。

あとはストッパーを中心にしたリリーフ陣をどうするのか? 今試合で見る限り、新外国人のクックはクイックモーションがまったくできないし、球威も制球力も不安。他の投手陣の顔ぶれを見ても、ストッパーの適任者は見当たらない。新しく補強しない限り、リリーバーの弱点は埋まらないだろう。ただ、本拠地の東京ドームは狭く、“丸効果”でパワーアップした打線で「打ち勝つ野球」で押し切ることも可能。V奪回を託された原監督の手腕に注目したい。

巨人対ロッテ 1回裏巨人無死、中越え三塁打を放った吉川尚は三塁に激走し滑り込む。三塁手レアード(撮影・浅見桂子)
巨人対ロッテ 1回裏巨人無死、中越え三塁打を放った吉川尚は三塁に激走し滑り込む。三塁手レアード(撮影・浅見桂子)