阪神対DeNA 6回表DeNA1死一塁、ロペスは三振に倒れ、一塁走者神里の二塁盗塁を刺す梅野(撮影・上山淳一)
阪神対DeNA 6回表DeNA1死一塁、ロペスは三振に倒れ、一塁走者神里の二塁盗塁を刺す梅野(撮影・上山淳一)

阪神が甲子園開幕を歴史的な勝利で飾った。DeNA1回戦で阪神梅野隆太郎捕手(27)が、史上69人目、同74度目のサイクル安打を記録した。虎は最大5点のビハインドをはね返し、勝利した。日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏は、梅野の成長を大逆転勝ちの試合で見た。

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派手な「サイクルショー」の裏で見逃せないのは「守の梅野」だ。二盗を試みた6回の神里、8回楠本を封じた。

梨田 いくら打ってもキャッチャーは守れないと正捕手としての信頼を得ることができない。梅野のスローイングの成長は「体の移し」ができるようになったことにある。

近鉄で正捕手だった梨田は「シーズン最高盗塁阻止率」のパ・リーグ記録を保持している。1979年に5割3分6厘をマークした。

梨田 ボールを受けた時点で、すでに左肩を入れて投げる体勢ができている。<1>肩の強さ<2>素早い動作<3>送球の正確性<4>ボールの回転。この基本をクリアしてきた梅野だが、その上で「体の移し」ができて、上半身と下半身がうまく連動しているから盗塁を刺せている。藤井バッテリーコーチが厳しく指導しているのだろう。

ただ、バッテリーとしては不安材料も残った。先発左腕ガルシアが開幕から2戦続けて勝てない。

梨田 DeNA左打者の神里、筒香らに腰を据えて打たれていた。サウスポーのガルシアを怖がっていない証拠だ。ボールの強さ、テンポの良さが持ち味だが、制球も効かないし、乗り切れなかった。ちょっと心配だね。

昨季ガルシアの左右別被打率は、対右打者2割6分3厘、対左打者1割7分4厘だったが、今シーズンは対右打者3割7分0厘、対左打者5割4分5厘と、逆転現象が起きている。

梨田 あと3回2死一塁から、大山が詰まった右前打で二塁を陥れようとしたが、ソトからの送球でアウトになった。前の塁を狙う積極性は認めるが、ここは一塁止まりで福留を打席に迎える状況判断が必要だろう。私には無謀にみえた。【構成=寺尾博和編集委員】

阪神対DeNA 6回表DeNA1死一塁、二盗を狙う神里を刺しベンチ前でハイタッチする梅野(撮影・上田博志)
阪神対DeNA 6回表DeNA1死一塁、二盗を狙う神里を刺しベンチ前でハイタッチする梅野(撮影・上田博志)