阪神が投手戦を落とし、連勝は「4」でストップ。貯金生活突入はならなかった。令和初黒星となったが、ドラフト1位近本が球団新人最長となる13戦連続安打を記録。

3安打猛打賞で打率を3割4分に上げ、リーグ2位に浮上した。日刊スポーツ評論家の梨田昌孝氏は、好調の近本とチャンスで凡退した4番大山の打撃内容について解説した。

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阪神は9回の広島に唯一の得点機をモノにされて競り負けた。再び借金を背負ったチームにあって、近本だけは依然として輝いた。

梨田 近本は西武森まではいかないが、下半身がどっしりして重心が低く、打ちにいく際、体が伸びない、ぶれない、突っ込まない。球際に強い打者であるのはカウントによって打ち分ける内容に表れている。

広島大瀬良に対した3回の左二塁打は2ボールから、5回の右前打は初球、7回は3球ファウルの後、続く4球目を左前に運んだ。

梨田 ポイントは近いが、どの打席も来た球のコースに逆らわず、コンパクトにバットが出る。1球目からも打てるし、追い込まれても粘りながら打ち返せるのは、素直すぎるほど素直にボールに対応できるからだ。それにパワーを感じさせるのは意外だった。

開幕は「2番」スタートも、4月12日中日戦(甲子園)から「1番」に固定されると、“水を得た魚”のように打ち出した。

梨田 阪神は近本、糸原の1、2番が安定しているのは強みだが、これを生かして得点力を上げるにはクリーンアップに仕事をしてもらうことだ。チームに勢いがあったし、序盤の大山に1本が出ていれば展開は変わっていただろう。

その4番大山は、1回1死一、三塁に二飛、3回2死一、二塁の好機は二直に打ちとられた。

梨田 大瀬良はカットボールを多投するから左打者より右打者のほうがとらえやすいはずだ。大山はインコースを意識し過ぎるあまり腰が開き気味で、それが災いしている。広島バッテリーはまともに内角には投げてこなかった。糸井のあっさりさも気になるが、やはり4番にかかってくる。また9回は、3番バティスタに決勝本塁打を浴びるわけだが、ドリスをリードした梅野の勝負球の選択にも若干の疑問は残った。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】