日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(49)が、3連勝でストップした阪神の守備に対する意識の低さに警鐘を鳴らした。

先発の青柳晃洋投手(25)がヤクルトの先頭太田のセーフティーバントを一塁へ悪送球。一気に三塁まで進まれ、この回2失点のきっかけとなった。右翼から悪送球のカバーに回った糸井嘉男外野手(37)の動きも疑問視。個々の意識を高めることが上位定着の鍵を握ると提言した。【取材・構成=田口真一郎】

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サヨナラ勝ちの勢いは初回に消えた。ヤクルトの先頭太田がセーフティーバントで揺さぶりをかける。捕球した青柳は一塁へ送球したが、大きくそれた。ボールがファウルゾーンを転々とする間に、太田は一気に三塁へ。いきなり無死三塁のピンチを招き、2点を失うきっかけになった。桧山氏は悪送球の行方をじっと見つめていた。

桧山氏 あの場面、三塁までいかせてはいけない。もちろん、青柳の悪送球が一番ダメです。しかしミスは誰にでもあります。カバリングは意識すれば、できること。クッションボールが変な方向に転がったわけではありません。防げるミスは防いでいかないと。糸井がやるプレーではない。手本になるべき存在ですから。

右翼からカバーに回った糸井の動きを疑問視した。阪神は5日のDeNA戦でも4失策1野選と守備が乱れた。桧山氏は守備に対する意識の低さを懸念した。

桧山氏 野球にエラーはつきものです。ただカバリングなど防げるミスをなくさないことには、競ったゲームで勝てなくなる。また投手と野手の信頼関係にも響いてきます。ちょっとしたことで、両者の気持ちにすれ違いが生じることがあるのです。あの日のプレーから崩れた、というのはよくある話。チームはせっかく(下位から)盛り返して、貯金も作ったのに、もったいなく思います。

矢野阪神は一時最下位に沈んだが、黄金週間の12連戦を7勝3敗と大きく勝ち越すなど、3位に浮上。長いシーズンで好不調の波は当然出てくる。守備への意識を個々で高めなければ、上位定着はありえない。

桧山氏 打たれた、打てないというのは、仕方のない部分があります。それ以外のことで、チーム全体の気持ちがつながっておかないと。守備に関しては、じっとしているポジションは1つもありません。カバーは意識をしっかり持てば、できることです。青柳はオープン戦からずっと内容が良かったが、今回は捕手のミットにただ単に投げているように見えました。テンポがいいこととただ投げているのは違う。自分のミスで点を取られて、リズムがつかめなかったのかもしれませんが、丁寧に投げるというのが伝わらなかった。見つめ直して、前を向いてやってもらいたい。

この日の敗戦で4位広島が0・5差で接近した。12連戦も残り2試合。ここが踏ん張りどころだ。苦い敗戦を糧に、チームを整備する時間はまだ残されている。

ヤクルト対阪神 1回裏ヤクルト無死、太田の投前バントを一塁に悪送球する青柳(撮影・清水貴仁)
ヤクルト対阪神 1回裏ヤクルト無死、太田の投前バントを一塁に悪送球する青柳(撮影・清水貴仁)