阪神が見せ場なく、広島に敗れ、同一カード3連敗を喫した。これで貯金を使い果たし、勝率5割に。日刊スポーツ客員評論家の吉田義男氏が本拠地で弱いチームの現状を鋭く分析した。

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あのG倒が幻だったかのような、悪夢の3連敗だった。

吉田 あれだけ巨人戦でいいゲームをしたのに、わが家(甲子園)に帰ってこれですから残念としか言いようがない。チームはよくやってるほうですわ。でもこの一戦については、極論かもしれないが球際の弱さがでた。それがテーマとして与えられていながらできないのだから、もっと練習することが必要だということです。

1回1死一塁。3番バティスタの二遊間寄りの打球に追いついた木浪だが、ボールはグラブからこぼれた。続く鈴木に2点打を浴びた。また2回2死三塁から菊池涼の投ゴロを秋山がはじいて加点された。

吉田 キャンプから見ている木浪のショートの守備は随分とうまくなっている。難しい打球です。しかしきついようだが、バティスタの打球は二塁でアウトにしないといけません。一方、俊敏性を欠いている広島田中広だが、このゲームに関してはいいプレーをされた。わたしの持論でもあるが優勝するチームには堅い守りのショートストップが絶対に欠かせませんから。

17日のカード初戦でも一塁手マルテを強襲した打球が手痛い失点につながっていた。一方、バティスタにはこの日の2安打1打点を含めて、3連戦で打率5割3分8厘、1本塁打、4打点を稼がれた。助っ人の3番固定が、4番鈴木の好調を引き出したといえる。外国人が機能するか否かはキーを握っている。

吉田 確かに4回バティスタに打たれた5点目が効いた。それに一言いわせてもらうと、21日ヤクルト戦はこのまま中谷を起用すべきですわ。マルテも巨人戦で貢献したからベンチにおいて、チャンスはあるぞと思わせながら、くさらさずに使いたい。勝率5割? ここからですがな。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対広島 9回裏阪神2死二塁、中谷は左線適時二塁打を放つ(撮影・加藤哉)
阪神対広島 9回裏阪神2死二塁、中谷は左線適時二塁打を放つ(撮影・加藤哉)