1回表広島1死満塁、西川を三振にとる日本ハム吉田輝(撮影・佐藤翔太)
1回表広島1死満塁、西川を三振にとる日本ハム吉田輝(撮影・佐藤翔太)

日本ハム吉田輝星投手(18)が広島2回戦(札幌ドーム)でプロ初登板初先発で初勝利を挙げた。全体の80%を直球で押す強気の投球で5回4安打1失点。日刊スポーツ評論家の西本聖氏(62)は、気持ちの強さを評価。内角球という課題は指摘したが、将来性に太鼓判を押した。

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高卒ルーキーが5回1失点。結果も上出来だが、内容は結果を上回っていた。甲子園、キャンプ、2軍戦を見ていたが、こちらの想像を上回る成長だった。

投手として1番、重要なのは気持ちの強さだと思っている。1回、安打と2四球で1死満塁の後、好打者の西川に対し3球連続の直球勝負。見事に空振り三振に打ち取った。ピンチにひるむどころか、ギアを上げたように腕の振りが鋭くなった。この三振を見る限り、立ち上がりに投げっぷりが悪かったのは、緊張で硬くなっているからでなく、冷静に低めに投げる意識が強かっただけなのだろう。ここ一番で持ち味を発揮できるのは、ハートが強い証しだ。

気持ちの強さは、勝ち投手の権利がかかる5回にも出ていた。先頭の長野は、前の2打席で直球を2安打していた。それでも初球に投げた直球は素晴らしい球で「俺の真っすぐを打ってみろ」と言わんばかりの投球でストライク。2軍では77球が最多投球だったが、1軍のデビュー戦で84球。疲労感が出るどころか、球の威力は増しているように感じた。

課題もある。打者の内角に投げるのが苦手なようで、捕手が内角に構えて内角への投球がなかった。外角を狙った球が真ん中高めや内角に抜ける球があったように、特に右打者に死球になるのを注意したのだろう。たまたまではなく、内角をしっかりと狙って投げられるようになれば、スライダー回転気味に決まる真っすぐの威力は、さらに上がる。クイックやフィールディングは良さそうで、決め球になる、落ちる系の変化球をマスターすれば、ローテーションに入って2ケタは勝てる。

次回の登板がいつになるかは分からないが、体の回復具合を見て決めることになるのではないか。次回の登板も楽しみで仕方がない。(日刊スポーツ評論家)

お立ち台でウイニングボールを掲げ笑顔の吉田輝(撮影・黒川智章)
お立ち台でウイニングボールを掲げ笑顔の吉田輝(撮影・黒川智章)