寝苦しい夜になった。矢野阪神1年目の前半戦は対巨人3連敗で一気に引き離された。

桧山 いきなり丸にホームランを打たれるわけですが、それが完璧すぎるほどパーフェクトな当たりでド肝を抜かれた。メッセンジャーが、さらに言うならチームが大きなショックを受けたようでした。あの一打で巨人の迫力を受け止めてしまった感が強かったですね。

1回にメッセンジャーが丸に先制ソロを浴びた流れは、2回も止まらなかった。下位打線で好機をつくられ、炭谷、坂本の適時打で3点を加点。序盤に4点リードを許すと、阪神は反発力を失った。

桧山 阪神にとってはカード初戦を取れなかったのが響いた。いかに“頭”を取ることが大事かということです。その流れをズルズルと引きずってしまった。

阪神の前半戦は若い芽が出てきたのが目立った。チームとしては「投高打低」の状況で、防御率3・40はリーグトップだ。

桧山 序盤から近本、木浪の若手が働きが目立ちました。それがセンターラインの固定につながった。捕手は梅野、二遊間が糸原、木浪、センターは近本で固まってきた。打てない課題は解消されないままですが、ピッチャーが踏ん張ったといえます。

また、チーム72失策は両リーグワースト。一時は最大「貯金6」までいったが、「借金2」で折り返しとなった。

桧山 チームの誤算は守備、走塁のミスが多すぎたことです。打線は水ものといわれるが、ここは計算外でした。ピッチャーは守りと走塁に足を引っ張られた。できるだけミスを少なくして競った展開に持ち込めばチャンスは出てくる。後半戦に向けて、いま一度引き締めてかかりたい。【取材・構成=寺尾博和編集委員】