阪神は長期ロードに入って1度もカードの“頭”をとれていない。広島、ヤクルト、広島、中日、巨人と全滅。この状況で勢いがつくはずはなかった。

権藤 阪神高橋遥をみるのは4戦目だが、この日が一番良い内容だった。巨人サイドも真っすぐと分かっていながら間合いをはかれない、振り遅れる、詰まる。かたや巨人桜井は投球がバラバラ過ぎて、あえてというなら阪神は的を絞れなかった。わたしはネット裏からみていて、高橋遥を変化球ピッチャーのようにリードした捕手梅野の配球に疲れたし、あんなにまずい内容の桜井を引っ張り続けた巨人ベンチの判断にはさらに疲れた。

その高橋遥の唯一の失点が4回1死一塁から、4番岡本に149キロのストレートを右中間スタンドまで運ばれた一撃だった。

権藤 高橋遥の失投ではない。あの1球を打った岡本が立派だった。ただ阪神ベンチは高橋遥に7回113球を投げきらせるわけだが、96球だった6回で交代させるべきだった。勝った負けたではない。後ろのリリーフはそろっているわけで、わたしの見立てでいうと、このピッチャーを大事に育てるためには、1イニング投げさせすぎた。

打線は高橋遥を援護するどころか、拙攻だらけだった。5回1死一、二塁で4番マルテが三ゴロ併殺。5番ソラーテも1回の犠飛だけで、いまさらながらだが両助っ人に迫力はない。

権藤 巨人、阪神の「4番」の差? その2人を比較するのは、巨人4番の岡本に失礼というものだ。それを比べるほうがナンセンスだ。阪神はマルテ、ソラーテの2人を同時にスタメンで起用しないといけないのだろうか。今後の順位? 阪神に先のことを考える余裕はない。1つ、1つ、目の前の試合に勝っていくしかない。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】