巨人桜井の好投が光った。7回を単打1本のみ。ほぼ完璧と言っていい内容で中日打線を打ち取った。この快投には秘密がある。直球とカーブ、カットボール、チェンジアップ。4つの球種をまんべんなく投げきったということだ。

24人の打者に対した96球中、同じ球種を続けたのは16回しかなかった。確率的には約2人に1度しか、打席中に同じ球が続かない。打者は狙い球が絞りづらくなる。しかも制球がいい。与四球は1つだった。高くなってもコースを間違えず、甘くても低めに集めた。だからいい当たりが少なかった。

そのうち、同じ球を3球続けたのは2回だった。直球とカーブが1回ずつあった。「毎回違う球がくる」とインプットされた中日打線に「続くこともある」という情報を与えることで、より絞りづらくさせた。どのカウントでも、どの球種でも投げられるというのは、全球種で勝負できている証拠でもある。

小林のリードと桜井の抜群の投球は「1+1」を3にも4にも5にもさせるコンビネーションを生んだ。それだけに、中継ぎ陣が踏ん張れなかったことが悔やまれる。

巨人の連敗は止まらなかった。この連敗中、毎試合中継ぎが失点した。加えてエース菅野が腰痛で抹消、メルセデスも2軍降格と踏ん張りどころで先発陣が欠けている。優勝に向けてラストスパートできるかどうかは、投手陣次第だろう。(日刊スポーツ評論家)

巨人対中日 力投する巨人先発の桜井(撮影・山崎安昭)
巨人対中日 力投する巨人先発の桜井(撮影・山崎安昭)