まんまと西武ベンチの作戦にやられてしまった。

8回の失点は防げた。甲斐野央投手(22=東洋大)が1死から栗山に四球を与え、西武は水口を代走に送った。いかにも足を使うかのようだった。甲斐野も警戒した。セットで球を長く持ったり、執拗(しつよう)にけん制した。そして打者外崎に四球を与えて1死一、二塁。次の山川への初球を中前に運ばれて、致命的な1点を奪われた。

どうみても水口は走る感じはなかった。リードも戻ることしか考えていないようだった。ここで走れる選手ならレギュラーを取っている。甲斐野は1年目。まだその辺は分からない。だったら、ベンチ、周囲の野手が教えてやればよかった。それがなかったのが残念だった。

本来なら西武のそんな作戦の上をいって「だまされるもんか」と、走者を気にせず打者専念で投球してほしかった。甲斐野ができないのは仕方ないが、誰かがアドバイスはできた。それがないから、ここに来て首位を明け渡すことになる。

今日勝てばマジックは点灯するが、頼みの打線もつながりを欠いた。打順を変えて臨む手はあるかもしれないが、今更変えるには遅すぎる。個々の奮起に期待するしかない。(日刊スポーツ評論家)