3連戦を通して見た戦いで感じたのは、巨人とDeNAの間に選手個々のレベルに大きな差はない。ただ優勝を争う経験値の違いが大いにある。DeNAも17年に日本シリーズに出場したが、シーズンは大差の3位。現メンバーは初の優勝争いだ。その差が所々に表れ、結果的に首位巨人の2勝1敗という決定的な結果となった。

ポイントは3回のソトへの勝負だった。巨人バッテリーは最初の打席で1発を浴び、このカード12本目を許していた。暴投で1死一、三塁となり、カウントも3-1。続く打者が強打者の宮崎とはいえ、この試合が復帰戦で1打席目に中前打を放ったが内容的にも本来の打撃ではなかった。てんびんにかけてソトとの勝負を避けたくなる状況だった。

だが勝負にいった。カウント的にも1発を食らった内角直球は投げられない。唯一の選択は外角への抜け球。打ちに来たら、引っかけてゴロになる可能性がある外角へのスクリューボールで、理想通りに遊ゴロ併殺打で切り抜けた。打たれるばかりでなく、抑えてみろというベンチからのメッセージが伝わったようだった。攻めの姿勢が直後の4回に丸、岡本の連発を呼び込んだと言っていい。

DeNAは初回1死二、三塁で大城に3ボールとしたところで、敬遠気味に歩かせて塁を埋めて満塁とした。だが次打者は俊足の重信で併殺打の可能性は低い。結局、重信に、わざと引っかけた打撃で二ゴロを打たれ、併殺崩れで1点を失った。大城に最後までギリギリの勝負を仕掛け、何とか打ち取ろうという姿勢があってよかった。

逆にどんな状況でも打ち取れる術があることを示した巨人の方がDeNAより1枚も2枚も上手だった。貴重な経験をしたDeNAも今後、どう生かしていくかが大事になる。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対巨人 3回表巨人無死二塁、内野安打で出塁する重信(右)(撮影・垰建太)
DeNA対巨人 3回表巨人無死二塁、内野安打で出塁する重信(右)(撮影・垰建太)