阪神はCSどころか、5位転落の危機だっただけに貴重な1勝になった。3回。1点を奪ってなおも1死二、三塁、3番福留の右越え3ランが大きい。

山田 福留が打席に立った時点のシチュエーションは一、三塁だった。その初球に一塁走者の近本が二盗を決めたが、これが福留の本塁打を呼び込んだといえる。「一、三塁」と「二、三塁」では、福留が心掛ける打撃は変わってくる。福留にはその技術が備わっているわけで、二、三塁になったことで思い切り良く長打を狙うことができたというわけだ。

中日柳に序盤でダメージを与えることができたのは効果的だった。逆に阪神西が7回1失点で反撃を許さなかった。

山田 おそらく阪神としては、今シーズン新戦力の西がもっと勝つと踏んでいたことだろう。これで8勝8敗のタイになったが、これからも勝ちを求められる投手であることに変わりはない。接戦を勝ち抜く、負けていても次につないでいく…、そんな存在であってほしい。

チームとしては前日12日のヤクルト戦(甲子園)で、高橋遥が打ち込まれて大敗しただけに流れが変わったといえる。

山田 打者には抑えられて何かを習得するという考えがあるかもしれない。しかし、投手というのは打たれて覚えるのでなく、勝ってこそ育つものだ。その試合に負ければ恐怖感だけを引きずってしまう習性がある。エース候補の高橋遥はボールの質がいいのだから、勝たせながら育てることだ。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】