巨人に競り勝った阪神だが、これが熾烈(しれつ)なV争いを演じるなかでの一戦であれば素直に喜べた。だが、巨人が坂本勇、ゲレーロら主力を早々とベンチに下げたゲームだったこともあって複雑な1勝だった。

チームに残された8試合は、わずかにあるCS進出の可能性を追いつつ、来シーズンを見据えた戦いになってくる。注目しているのは大山だが、巨人戦の2試合を見た各打席からは、なかなか工夫が伝わってこなかった。

この日は途中出場して巡ってきた7回の打席で田口に一飛に仕留められた。9回1死二塁の場面は、フルカウントから沢村のボールになるフォークに空振り三振。特に9回は一塁が空いていて、相手はボール球でもいいという状況を考えた打ち方とはいえなかった。

今シーズンも得点力不足を解消できなかったチームだから、長打力のある新外国人獲得が望まれる。マルテが6番を打つぐらいの打線を組むのが理想的だろう。「4番三塁」にはまる逸材であればうってつけといえる。

開幕から4番で起用されてきた大山だったが、もはやレギュラーを保証された立場ではない。本人はフォームで悩んでいるのだろうが、なんとかして残りシーズンに来季につながる“何か”をつかんで終えてほしいものだ。(日刊スポーツ評論家)

巨人対阪神 9回表阪神1死二塁、三振に倒れる大山(撮影・上田博志)
巨人対阪神 9回表阪神1死二塁、三振に倒れる大山(撮影・上田博志)