継投勝負に持ち込めば、まだ勝機はある。巨人とのCSファイナルステージ初戦を落とした阪神は0勝2敗と劣勢に立たされた。日刊スポーツ評論家の中西清起氏(57)は2番手岩貞ら3投手が1安打無失点に抑えたことを「唯一の希望」と評価。14年に投手コーチとして、巨人とのファイナルステージを4連勝で突破した自身の経験を踏まえ、今後の戦い方を提言した。

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矢野阪神のゲームプランは、序盤2回でもろくも崩れた。プロ通算1勝の望月を先発で抜てきしたが、5失点。リーグ王者を相手に苦しい試合展開になった。

中西氏 先発の選択肢としては岩貞もあっただろうが、四球で乱れる恐れのある投手。勢いのある望月に首脳陣は懸けた。ファーストステージから、先発4枚は決めていただろうから、岩貞は好投したが、それは結果論に過ぎない。若い望月は思いきり腕を振ってほしいところが、顔が硬直し、明らかに緊張が勝っていた。丸の本塁打は併殺の後で、四球を出したくないのだろう。ストライクを取りにいったところをスタンドに運ばれた。

中西氏は14年に阪神投手コーチとして、リーグ2位からファイナルステージで巨人に4連勝。勝ち抜く難しさを知る。

中西氏 ファイナルも短期決戦だが、DeNA戦でリリーフ陣の疲労が蓄積し、この初戦に限れば、中継ぎを注ぎ込みづらい。仮に2回途中で望月を降ろせば、3回は投手に打順が回る。しのげば、ガルシアにつなげられた。しかし点差を広げられたことで動くに動けなくなった。

3回以降は、岩貞、能見、守屋の3投手で1安打無失点。それでも誤算の5失点が響いての敗戦となった。アドバンテージを含めて、0勝2敗と劣勢に立たされた。

中西氏 14年は突破するなら4連勝しかない、という思いだった。2連勝しても、1つ負ければ、五分になり、巨人に息を吹き返される。それだけアドバンテージの1勝は重い。この初戦、阪神にとって、岩貞、能見、守屋の3人が好投したのは、唯一の希望だ。DeNA戦で好投した藤川、ドリス、島本、岩崎は中2日の間隔が空けられる。点を取られたのは望月だけで、巨人も嫌な感じが残るはずだ。

第2戦の先発は7日に3回を投げた左腕高橋遥。いかに巻き返すか。矢野阪神は最大の持ち味である継投勝負で活路を見いだす。

中西氏 ファイナルは1つの勝ち負けで展開が大きく変わる。初戦を落としたことで、これからはファーストステージのように戦うしかない。リリーフをドンドン、注ぎ込むことだ。遥人は4回を投げてくれたら御の字だ。できれば、先制点を取って、リードの形で継投に持ち込みたい。2戦目を取れば、先発は青柳、西、この日好投した岩貞でつないでいくだろう。勝ちパターンの投手に休養を与えられたことで、まだ戦える。3連投も辞さない姿勢で臨むべきだ。