3連覇を狙う西武のポイントは、1番目に投手力の強化で、2番目にメジャー移籍した秋山の穴をどうやって埋めるかだろう。カギを握るのは即戦力ルーキーのドラフト1位宮川哲(24=東芝)と新外国人だと思っていた。

まず、ブルペンでの宮川だが、評判通り、力のある直球は投げていた。しかし、気になるのは右打者の外角に投げた直球の精度がいまひとつだったこと。シュート回転して抜ける球が多いのは、左足を上げた後、腰が開き気味にスライドしていくため、腕が振り遅れ、リリースが安定しないから。まだキャンプ2日目。今後は状態も上がっていくだろうし、即戦力なのは感じるが、現時点でローテーション入りまでの期待は酷に感じた。

それより、目を引いたのはドラフト1位の若手投手が5人(高橋光成、今井達也、斉藤大将、松本航、宮川哲)もそろってブルペンに入っていた点。特にいい球を投げていたのは今井だけで、松本の調子はいまひとつだったが、年齢的にも素材的にも上がり目の投手がこれだけそろっているのは心強い。

新外国人はまだ分からないが、この若手投手陣が成長すれば、秋山が抜けた穴は投手力でカバーできる。毎年、主力選手がFAやポスティングで抜けているが、それをはね返しているチーム。辻監督の手腕もあるが、キャッチボールを見ていても、ベテランの栗山が真っ先に投げる距離を伸ばしていたように、戦うチームとしての“遺伝子”が伝統的に受け継がれている。野手の層はそれほど厚くないだけに、ケガなどの主力の離脱がないことが条件だが、優勝争いをする戦力があるのは間違いない。(日刊スポーツ評論家)