ロッテのドラフト1位佐々木朗希投手(18=大船渡)が18日、巨人戦が行われた沖縄セルラースタジアム那覇で3度目のブルペン投球練習を行った。途中で休憩を挟み、4分間を2セット。捕手を立たせて計44球を投げ込んだ。捕手として1527試合に出場した日刊スポーツ評論家の田村藤夫氏(60)は課題を指摘しつつも、そのストレートの威力に驚きを隠せなかった。

  ◇    ◇    ◇

これを見るために沖縄に来た。捕手のほぼ真後ろで、佐々木朗のストレートを体感する。すごかった。テレビ映像、首脳陣の高評価で、期待値は相当高かったが、いいボールが来た時の威力はそれ以上に圧倒的だった。伊良部のように足を高く上げ、剛速球を投げ込んでくる。佐々木朗の球筋を見ながら心の中で、今まで受けた投手、対戦した投手と比較していた。こんな球筋あったか? いや、なかったと思う。

ボールにバラつきが多く、しっかり投げられていたのは44球のうち7、8球。これについてはしっかり指にかかっていたが、それ以外はリリースポイントが乱れ右下に外れるボールや、シュート回転するボールも目についた。ただ、あの7、8球のボールがあれば、試合の正念場でも4番打者相手にストレートを要求できる。たとえ打者がストレートに的を絞っていたとしても、あの威力なら勝負球として通用する。このボールをいかに続けるか。それが課題になる。

力をいれたフォームを初めて見たが、最後の最後まで体が開かず、ボールの出どころは見づらい投手だと感じた。今は立ち投げだが、これから捕手を座らせると、制球するのは一段と難しくなる。下半身が安定してくれば、座らせても低めに決まる確率は上がっていく。

18歳はこの1カ月でだいぶたくましくなったが、まだ細い。ダルビッシュが入団した時も細かったが、1年目で5勝し、そこからトレーニングを積んで体が大きくなり、一気に駆け上がった。それを踏まえると、トレーニングを積んだ後の佐々木朗はどんな球を投げるか、非常に楽しみだ。

投げ終えた直後、吉井投手コーチ、ブルペン捕手と3人で話をした際、佐々木朗はさりげなくフォークの握りをした。ボールをスッポリ指に挟むそのしぐさに、フォークに対する自信を感じた。あのストレートにさらにフォークかと、思わずにいられなかった。どれだけのピッチャーになるのか。もはや想像を超えている。(日刊スポーツ評論家)

◆田村藤夫(たむら・ふじお)1959年(昭34)10月24日生まれ、千葉県習志野市出身。関東第一から77年ドラフト6位で日本ハム入団。81年9月27日の阪急戦で1軍デビューし、世界の盗塁王福本の盗塁を阻止。ロッテ-ダイエーを経て98年引退。ソフトバンクや日本ハムなどでコーチを歴任し、昨年は中日で2軍バッテリーコーチを務めた。