正直、この時期の新外国人選手の能力判断は、難しい。どのぐらいコンディションを整えてきたか、個人差が大きく、日本球界への予備知識といった準備をどれぐらいしてきたかなど、未知数だからだ。しかし、この日の練習試合で「5番右翼」で出場した巨人の新外国人パーラを見る限り、クリーンアップを務める能力はなさそうだった。

まず外国人にしては小柄で、プルヒッターではない。バットのヘッドを返さずに打つ技術はあるが、逆方向に長打を打つようなパワーは感じない。今後、配球を読む知識、タイミングを取るなどの慣れは、実戦を積んで調子が上がるかもしれない。そこそこのアベレージを残す可能性はあるが、長打が出やすい東京ドームでも、30本以上の本塁打は望めないだろう。

シーズンを見据え、この試合でも巨人の攻撃には嫌な兆候が見えた。3回2死一、二塁から4番の岡本を迎え、相手投手はカウント1-1から暴投。走者は進塁し、一塁が空けば岡本と勝負する必要性は薄れる。結局、岡本は厳しいコースを攻められて四球。パーラは一ゴロで無得点だった。

試合序盤とはいえ、パーラに長打力があれば、一挙に大量得点できる可能性がある。岡本を簡単には歩かせるわけにはいかない。しかし後ろの打者に長打力がなければ、岡本へはきわどいコースへの攻めでいい。岡本が調子を崩す可能性も高くなる。

長打力がなかった私自身、現役時代はクリーンアップを打つのが嫌だった。勝負強さを備えていたとしても、長打率が低ければ相手バッテリーは楽になる。パーラに勝負強さがあったとしても、打順は6番か7番あたりが妥当だと思う。(日刊スポーツ評論家)

視察に訪れた宮本氏(左)と談笑する巨人原監督(撮影・河野匠)
視察に訪れた宮本氏(左)と談笑する巨人原監督(撮影・河野匠)