阪神先発の西勇輝(撮影・前岡正明)
阪神先発の西勇輝(撮影・前岡正明)

開幕投手に決定している阪神西勇輝投手(29)が22日、中日戦(北谷)でオープン戦開幕投手も務め、上々の対外試合初先発を飾った。昨季10打数6安打と苦手にした4番ビシエドは、5球全て変化球の意表を突く配球で見逃し三振。開幕相手のヤクルト007を「面食らいました」と幻惑させ、投球の幅を広げる進化もアピールした。2回3安打1失点の結果以上に、価値あるマウンドになった。

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西という投手は、球威もあり、コントロールもいい。いろんな球でストライクが取れる。きれいな球を投げられるというのは長所だが、タイミングを合わされた時に苦しくなる。あのコントロールを生かすには、間合いを外す球がほしい、と思っていた。この試合で「考えてやっている」と感じられたのが、初回の福田の打席だ。

2球目に内角のシュートでファウルを取り、5球目に今度は内からのスライダーでストライクを取った。通常、打者は内角にはシュートという頭があるので、スライダーがくると嫌なものだ。この1球で打者は相手の投球を考えないといけなくなる。戦いが始まる前に考えるのはいいことだが、勝負の最中は考えさせられたほうが負けなんです。逆に外角にはスライダーと真っすぐ。両サイドをそれぞれ2つの球種で攻めると、投球の幅が広がる。この日の西はインコースの出し入れができていた。昨年、違うリーグで1年間投げ抜いたことで、風格が出てきたように見えた。

2番手で投げた高橋は、今のままでいい。荒々しく、球に力がある。両サイドをうまく使う西とは違うタイプで、おもしろい存在だ。

1回裏中日2死一塁、アウトカウントを示す阪神先発の西勇輝(撮影・森本幸一)
1回裏中日2死一塁、アウトカウントを示す阪神先発の西勇輝(撮影・森本幸一)