連覇を狙う巨人の“課題”は「メジャー移籍した山口の穴を誰が埋めるか」だろう。新外国人のサンチェス、復活の期待が高まる田口、新戦力として出てきそうな戸郷らの名前が挙がるが、昨年の山口の成績は15勝4敗で、大車輪の活躍だった。期待が高い投手とはいえ、やはり「山口の穴」を埋めると考えれば荷が重い。この穴を埋められる投手といえば、菅野しかいないと思っている。

練習試合が再開し、“開幕”に先発した菅野は4イニングで1失点。この時期で球速も150キロ以上をマークし、5奪三振。完璧に近い内容だった。ただ、昨年の山口の成績をあげるとなると、気になる点があった。

菅野という投手は「力投型」で、いつも全力で投げているイメージがある。コロナの影響で、いつもの練習試合ではないが、菅野ぐらいの力があれば7割ぐらいの力で抑えてほしい。というのも、ここ2年で負けるときの菅野のイメージは「全力投球で力尽きる」というもの。「力投」の“ツケ”が長いシーズンを乗り切るための「余裕」を削り取っているように感じていた。責任感の強さの表れだろうが、この試合のピッチングでも、“遊び”が感じられなかった。

昨年の菅野の成績は、11勝6敗。菅野が無敵のエースに返り咲き、山口と同様の成績をあげれば、必要になるのは昨年の菅野の成績をだれかが埋めること。先に名前を挙げたサンチェス、田口、戸郷の3人が期待通りに活躍できれば、菅野があげた「貯金5」は埋められると思う。

エースの穴は、エースにしか埋められない。優勝するには、優勝争いのライバルチームのエースと投げ合い、勝たなければいけない。何人かの合計で埋め合わせられるというものでない。(日刊スポーツ評論家)

巨人対西武 2回表西武無死、山川を空振り三振に仕留める菅野(撮影・たえ見朱実)
巨人対西武 2回表西武無死、山川を空振り三振に仕留める菅野(撮影・たえ見朱実)