ドロ沼の阪神。なかなか浮上しないチーム状態のなか、ボーアに待望の来日初アーチが飛び出した。

真弓 これだけ負けが込むと、打つほうも、守りでも、あまり言いたくないがベンチにも、もろに硬さを感じるね。だれもがマルテ、ボーア、サンズの外国人トリオが打たないと勝てないと思っているはずだ。ボーアに本塁打が出たのは明るい材料といえる。

ボーアが左の岡田から本塁打を放ったのは9回だった。だが前打席の6回無死一、二塁の場面は、右の山本に遊ゴロに仕留められていた。

真弓 これもチームが萎縮しているのと同じくランナーを背負っていると硬くなるんだろうね。バットをボールの軌道に早く入れたがっている。要するにバットが下から出るわけだが、そうすると大事に打とうと、少しだけバットが遠回りして、フライになるんじゃなくてゴロになってしまうんだね。もっと開き直って打てばいいんだけど。

最悪の遊ゴロ併殺が「暗」とすれば、次打席の9回の1発は「明」だった。この回先頭で走者はいなかった。

真弓 ボーアのホームランはストンとバットを落としただけで飛んでいったでしょ。まぐれ? そんなことだれも言ってない。少し泳ぎ気味で、ややヘッドが遅れ気味だったが、自然とバットが出たんだ。なにも考えないで、迷うことなく打ったということさ。

これを契機にボーアは上昇してくるのか。“真弓流”にアドバイスするとしたら?

真弓 おそらく来日してから、いろいろ言われているだろうが、もっとのびのびやらせたいな。見逃しも、空振りも、凡打も一緒だから、とにかく自分のバッティングをしろと言ってあげたいね。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】