今季、私がセ・リーグの優勝予想に挙げたチームはDeNAだった。4番を打っていた筒香が抜けたとはいえ、新外国人のオースティンが良さそうだし、投打の戦力を見ても他球団をリードしていると感じたからだ。しかし、今試合を見る限り、優勝の可能性は厳しいのではないか、と思えてしまった。

野球が雑すぎる。特に痛かったのは8回裏だった。1死後、丸に四球を与えると、次打者の岡本を迎えた初球、代走の増田大が盗塁を決めた。パットンは走者がいても、足を大きく上げて投げるという情報が伝わっていたのだろう。得点差は1点差であり、代走が出たばかり。ここであっさりと走られるようでは話にならない。結局、手痛い追加点につながってしまった。

このプレーだけで“雑”という言葉を使った訳でない。6回に登板したエスコバーも代走の若林に走られている。スタートが遅く、アウトになったが、ここでも足を上げ、クイックモーションで投げていない。パットンにしても、エスコバーにしても、今試合では首位の巨人が相手なだけに、ビハインドゲームでの登板だったが、本来は勝ち試合で投げる投手だろう。その投手がそろってクイックをしないようでは、僅差の試合での劣勢になるだろう。

8回の3連続タイムリーもすべて内角直球を打たれたもの。細かく言えば切りがないが、中島には直球を4球も続けて打たれていた。いくらベテランで速い直球を苦手にしていたとはいえ、4球も続ければ対応してくる可能性は上がる。事実、コンパクトなスイングでセンター前にはじき返されていた。

他にもオースティンが一塁が空いている場面でノースリーから明らかなボール球を空振り。戦いぶりを振り返っても「何が何でも勝つぞ」という意識が伝わってこない。ただ、まだ始まったばかり。雑な野球を改善し、セ・リーグを盛り上げてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)