8回裏中日無死、中失策で出塁した石川昂弥(撮影・森本幸一)
8回裏中日無死、中失策で出塁した石川昂弥(撮影・森本幸一)

今年の高卒ルーキーで1軍デビュー一番乗りを果たしている中日の石川昂が、巨人のエース菅野と対戦した。高校時代から注目していた選手だっただけに、球界を代表する右腕にどう挑んでいくか、楽しみにしていた。結果は3打数無安打1三振。内容を見ても、1軍の舞台で活躍するには、まだまだ時間が必要だと感じた。

全ての打席で、積極的にバットを振ろうという意識は感じた。3打席で合計9球の勝負だったが、ストライクゾーンの見逃しはなし。デビュー当初はファーストストライクに見逃しが目立ったが、バットを振らなければ何も生まれない。この試合のように、まずはバットを振っていくことの大事さを忘れないでほしい。

フェアゾーンに飛んだのは、第2打席と第3打席の中飛(3打席目は中堅の失策)。打った球種は、初球の外角カットボールと、2球目(カウント0-1)の外角低めのフォークだった。いずれも当てにいったようなスイングで、打球も弱かった。今後の課題が詰まったスイングだった。

ともにストレート系の速い変化球なら、もっと思い切って振ってほしかった。というより、今の技術では速い変化球に対して思い切ったスイングができない。技術的に細かく言えばきりがないが、もっと軸足にためを作ってから打ちに行けないと、鋭いスイングはできないだろう。

ただ、スイングすることによって、自分の改善点が見えてくる。同じ高卒のヤクルト村上は、1年目はほとんど2軍だった。2軍で結果を出し、終盤に1軍に上がったが、昇格というよりは、まだ経験を積ませる意味合いの方が大きかった。そして2年目に36本塁打。三振も多く、課題は山積みだったが、3年目の今季は三振も減り、急成長を遂げている。

石川昂もこの試合のように、スイングすることで課題を見つけ、自分に必要な技術を見つけてほしい。プロの球がバットに当たらないからといって、ヤマを張ったり、当てにいくようなスイングにせず、まずは真っすぐに狙いをつけて変化球に対応できるようなスイングを目指してほしい。(日刊スポーツ評論家)

8回裏中日無死、丸佳浩の落球で出塁する石川昴。投手菅野(撮影・江口和貴)
8回裏中日無死、丸佳浩の落球で出塁する石川昴。投手菅野(撮影・江口和貴)