DeNAの戦いぶりを見て、とても優勝を目指しているチームには思えなかった。今3連戦が始まる前は首位の巨人に対し、DeNAは5・5ゲーム差の2位にいるチームだった。今季はコロナの影響で120試合に短縮され、全てのチームが今3連戦で折り返しの60試合を超える。逆転優勝を狙うDeNAにとっては、絶対に負け越せない3連戦のはずだった。

試合を振り返る前に言っておきたいことがある。今季のセ・リーグはCSがない。つまり首位にいるチームをたたかなければ、日本一を目指すチャンスすら訪れない。しかしDeNAの戦いぶりは、逆転優勝に向けて、つじつまの合わない起用法が続いた。

最初の衝撃は、翌日の先発投手の名前だった。「パットン」-。中継ぎ投手を先発させるのだから、よほど先発の駒が足りないのかと思ってしまったが、1軍の登録選手の名前を確認すると、ピープルズに加え、井納もいる(ベンチ入り登録は外れたが)。どうやら井納は相性のいい広島戦に回るように思えるが、大きな疑問が残る。前日に先発した上茶谷を含め、今3連戦は浜口、井納、ピープルズの4人を総動員で戦うものだと思っていた。

先発した浜口は3回で降板。2番手で投げさせると思っていたピープルズも3番手の登板だった。翌日がパットンを先発させる「ブルペンデー」ならば、先発の浜口をもう少し引っ張るか、ピープルズを温存した方がいい。そもそもいくら広島との相性がいいといっても、井納は今季巨人戦で2敗とはいえ、内容はそれほど悪くない。5位にいる広島をマークする必要性の意味が分からない。

前日、コンディション不良でスタメンを外れた宮崎も7回1死二塁から代打で出場。その後も三塁で出場し、2打席目も立っている。詳しい状況は分からないが、主力選手の自覚があるなら、この巨人3連戦だけでもスタメン出場してほしかった。「優勝を逃しても、Aクラスに入れればいい」という戦いにしか見えなかった。(日刊スポーツ評論家)

巨人対DeNA 巨人に連敗したDeNAラミレス監督(撮影・たえ見朱実)
巨人対DeNA 巨人に連敗したDeNAラミレス監督(撮影・たえ見朱実)