巨人坂本勇人内野手(31)が、自身初となる3打席連続本塁打を放ち、原監督にメモリアル勝利を贈った。

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「見事」のひと言しかない。広いナゴヤドームで、坂本が1試合3ホーマー。原監督のメモリアルゲームに、チームで一番と言っていい“愛弟子”が花を添えた。

1本目の右中間への2ランは、特に驚いた。3回1死二塁でフルカウント。一塁も空いていたし、甘いところにくる可能性は低いと思っていた。坂本も分かっていたはずで、打ったコースはやや内角寄り、低めの直球だった。しっかりボールを見極め、ポイントを引きつけて逆方向に押し込んだ。しっかり状況を把握し、パワーとテクニックの両方が備わっていなければ打てないホームランだった。

2本目の1発は、左中間へ放った。6回、先頭打者でカウントは1ストライク。内角寄り、低めのスプリットだが、変化球だった分、前でさばいていた。内角球は得意なコースで、球種こそ違うが、1本目の本塁打とほぼ同じコースと高さ。直球と変化球の球速差が違ったため、打球の方向は逆になったが、得意なコースの球は、何度打っても本塁打にするのではないかとさえ思えた2発だった。

3本目は2-1のバッティングカウントで、狙い通りの1発のように見えた。今季は開幕から苦しんでいたが、1番に起用されてから急上昇。2番という打順はチーム打撃を必要とされる打順で、いろいろ考えることが多かったのだろう。1番になり、吹っ切れたような打撃を見せている。

11年のシーズン後半に、原監督から「オフの自主トレで坂本に守備を教えてやってくれないか」と頼まれ、1週間、指導したことがあった。日本を代表するショートになって、球界のレベルアップにつながればいいと思って引き受けたが、原監督からは坂本への愛情を強く感じた。昨年はショートで40発。そしてナゴヤドームで史上初の1試合3本塁打。とんでもない選手に成長した。(日刊スポーツ評論家)