DeNA対阪神 汗を飛ばして力投する阪神先発の斎藤(撮影・浅見桂子)
DeNA対阪神 汗を飛ばして力投する阪神先発の斎藤(撮影・浅見桂子)

阪神は主軸に打点がつき、打線は点の取れる攻撃ができている。それだけに、中継ぎの踏ん張りが追い上げの鍵を握る。登板過多による疲労の蓄積で、ブルペンの状態は悪すぎる。だから試合の流れがいったりきたりするのだが、その中でも、特に先頭打者への入り方をもっと意識すべきだ。この試合では、6回にガンケルが先頭に四球を与え、3失点で一時は逆転を許した。

私が広島で指揮を執っていた時は、先頭打者への入り方を意識するように、口酸っぱく言っていた。緊急登板ならば、やむを得ないが、リリーフ陣はベンチから事前に準備するように言われている。先頭の初球にベストボールを投げられるようにしなければならない。ヒットは仕方のない部分があるが、四球は投手のエラーともいう。歩かせば、次の打者からセットポジションになり、けん制球を挟む。クイックも考えるなど、間合いが長くなる。これでは自分のボールが投げられるわけがない。DeNA国吉が投げた7回もそうだが、先頭を四球で出せば、失点の確率は間違いなく上がる。そして相手を勢いづけてしまう。いつもゼロで抑えるのは難しいかもしれないが、試合の流れを作るのが、中継ぎの役割だ。抑えろ、ではなく、先頭の入りの球を大事にいく。初球からベストのボールを恐れずに投げなければならない。

この試合で目についたのが、プロ初先発となった斎藤だ。球に力があり、高速スライダーやスプリットといった球種もある。特に魅力に感じたのが、「まっスラ」だ。絶好調の梶谷、佐野といった左バッターが芯を外され、詰まらされていた。ただし、50球を過ぎて、コントロールがバラつき、60球過ぎたあたりで、球が浮きだした。あれだけの腕の振りがあるのだから、先発にこだわらず、中継ぎで使うのもおもしろい。楽しみな戦力が出てきた。

残り51試合で首位巨人に対し、9・5ゲーム差というのは、確かに厳しい数字だ。しかし安定したゲーム、自分たちの戦いをすれば、必ず連勝できる。そして連敗が少なくなる。今後、涼しくなってくれば、先発投手の調子も再び上がってくる。だからこそ今は、中盤の試合展開で、中継ぎが流れをもってくるような投球が必要だ。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対阪神 初回を無失点に抑える阪神斎藤友貴哉(撮影・清水貴仁)
DeNA対阪神 初回を無失点に抑える阪神斎藤友貴哉(撮影・清水貴仁)