日本野球機構(NPB)は21日から開幕するプロ野球の日本シリーズで、全試合でDH制を採用すると19日、発表した。

セ・リーグ本拠地での試合を含めて、全試合での採用は、阪神が西武を下した1985年(昭60)以来35年ぶり。86年はDH制なしで行われ、87年以降は、パ・リーグの本拠地での試合のみ採用されていた。

   ◇   ◇   ◇

ソフトバンクがセ・リーグの本拠地でも普段通りの戦い方ができるので、有利に働くだろう。特に投手は打席に立つ必要がなくなるし、野手の人選に頭を悩ませることもなくなる。今年は交流戦もなく、巨人はDH制を経験していないという点もある。

今年に限って言えば、特別なシーズンなので、特例というのは理解できる。しかし、セ・リーグもシーズンでDH制を導入する流れに向かうのはどうか、と思う。指名打者が入ることで選手の活躍の場が広がるという意見もあるが、逆ではないか。投手が打席に立つことで、代打が複数人、必要になり、継投の機会も増える。DH制では投手、野手ともにそれほど多くの選手を必要とする試合は減るだろう。打つだけの選手が救われて、選手起用の幅が広がるというのは疑問だ。野球の本質はDH制にはないと考える。制度というのは1度導入すると、簡単には戻せない。今後、セ・リーグでもDH制導入の話題が持ち上がるだろうが、時間をかけて、慎重に議論を重ねるべきだ。(日刊スポーツ評論家)