私の田中将大像がある。直球で抑えるイメージがあるが、本当はスライダー、スプリットが超一流。それがあるゆえに打者が直球を邪魔に感じてしまう。

8年ぶりに生で見たが、違和感のない楽天のユニホーム姿とともにスタイルは変わらなかった。調整段階だが直球は39球中15球と半分程度。力を入れて投げたのは2回の清水の5球目ぐらいに感じた。変化球は中田に3ランを浴びたスライダーはやや甘く入ったが、キレはあった。体勢を崩させ、柵越えするとは正直、思わなかった。結果は3失点したが、田中将自身も気にはしていないだろう。

メジャーから復帰して変わったと感じたとすれば、投球始動時の左足の上げ方ぐらいか。移籍前は力をためるように、少しゆったりと上げていたのが、コンパクトな動きになったように見える。コンパクトという言葉から、こぢんまりしたと勘違いしてほしくない。物事を極める人は余計なものを省いていく。打者からすればタイミングを合わせるための「間(ま)」が消され、打ちづらくなったようにも感じるだろう。

ドラフト1位の早川とともに自滅しないタイプ。2人で25勝も十分に狙える上積みは、楽天にとって大きい。(日刊スポーツ評論家)

楽天早川すでに完成、試す余裕も必要/谷繁元信