高山の状態がいいことは、間違いない。彼の良さは、バットコントロールにあり、ヒットゾーンが広い点にある。しかし、どんなボールにも当てられるという器用さが、もろ刃の剣になるところに難しさがある。7回の3打席目に課題が見られる。2ボールからの3球目、外角への変化球に手を出し、二塁へのゴロになった。この場面は打者有利のカウントで、直球待ちが基本だ。それでもバットが止まらずに、ボールに当たってしまうのが高山だ。追い込まれた時のような打撃になり、凡打してしまう。狙い球を絞らなくても投球に反応して打てるバッターゆえの短所でもある。

打者心理としては、「2安打しても、最後の打席がもったいなかった」という思いが次の日まで残るだろう。シーズンに入れば、これではヒットを打つ確率は上がらない。狙い球が外れたり、タイミングの合わないボールにはバットを止める。あるいはファウルにする。空振りしてもいい。これも技術のひとつだ。そこをしっかりやらないと、プロでは通用しない。

実際にどうすればいいか。打者有利のカウントでは、自分のスイングで強く振ることを心がけるべきだ。「強振」は悪いことではない。タイミングが合わなかったら、空振りすればいいだけのこと。これが選球眼を磨くということにつながる。高山のような打撃センスのある打者ならば、すぐに打率3割を打てるだろう。(日刊スポーツ評論家)

阪神対DeNA 7回裏阪神無死、高山は二塁へ内野安打を放つ、左は京山(撮影・加藤哉)
阪神対DeNA 7回裏阪神無死、高山は二塁へ内野安打を放つ、左は京山(撮影・加藤哉)