阪神は自信満々で戦っているようだったね。まず力んで上体で打っていた近本が復調の気配をみせているのは大きい。この1番打者が動くと相手チームからミスのでるケースが多いからね。つまりスキを突くことができる。

特筆すべきは“ツボ”を逃さないマルテだ。3回。近本の遊ゴロを西浦が失策で出塁、続く糸原の中前打で一、三塁になった。糸原の二盗で二、三塁、マルテは2-2から詰まりながらも中前タイムリーを放った。

日本の野球に慣れたマルテは、土台がしっかりして自分が打てる球は逃さない。それとそのヒットを放つ直前のきわどい外角低めにボールになる球をちゃんと見極めている。この粘りの選球眼は相手投手を苦しめている。7回の勝ち越し本塁打も見事だった。

また佐藤輝の打撃だが前に「相手投手の球の力を利用し、逆らわずにとらえることが大事」と指摘をしたことがあった。9回の左越え本塁打は甘い球だが、まさに逆らわずとらえた結果だ。ヤクルトの打たれっぷりは目を覆いたくなるようだった。両軍の戦力差を感じさせる一戦だった。

(日刊スポーツ評論家)