いろいろミスが出て悔しい敗戦となったなかで、8番石井の2回の打席が気になった。1死一塁の場面。次打者は9番なので普通の送りバントでは得点につながりにくい状況だった。阪神の三塁の守備位置は下がっていて普通のゲッツー態勢で、ヒットを打つのと走者を送る2つの意味でセーフティーバントに持ってこいの場面だった。

ところが、結果的に盗塁で走者は二塁に進んだが、打ちにいって追い込まれて最後は見逃し三振。長いシーズンのなかで好不調は必ずある。石井は今季レギュラーをつかみつつあり、安打もコンスタントで出ていたが、今は苦しい状況にある。その中でどうやって安打につなげていくか。周囲の状況を見ていろいろなことにチャレンジするアプローチがあってもいいと感じた。

もう1つは6回1死一、二塁の場面。チャンスの局面で、阪神の秋山が投じた2球目はこの日で一番と言っていいくらいど真ん中の甘い球だった。それに手が出ず、最後は見逃し三振。調子が悪いので考えすぎるのだろうが、頭を整理し、基本に立ち返って1球目から直球にしっかり合わせる。調子の善しあしでメンタルが左右されているが、本当にレギュラーをつかむためにはその壁を越えていかなければならないし、自分の中では石井への最後の壁だと思っている。(日刊スポーツ評論家)