歴史の扉に手をかけたが、開くことはできなかった。エンゼルス大谷翔平投手(27)が、今季2敗目を喫した。

アストロズ戦に「2番投手」で出場し、第1打席で44号先制本塁打も、投手では乱調。3回1/3を9安打6失点で5月28日以来の黒星を喫した。

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大谷は、前回登板の3日(日本時間4日)のレンジャーズ戦でメカニック的にも非の打ちどころがなく、素晴らしい投球だったので非常に楽しみだったが、117球を投げた影響があるように感じた。試合後に本人も話したように、多少疲れや張りがあったのだろう。前回とは別人だった。

投球フォーム的には、前に突っ込んでいるように見えた。スプリットが抜けたり、シュート回転したのはそれが1つの原因と考えられる。どの投手でも腕がしっかりトップまで上がっていない状態で投げると、そのような傾向が多く見られる。

疲労の影響で下半身の粘りがなく、ボールを離す位置もいつもより後ろだったように感じた。ボールを前で離すことができず、スライダーの曲がりもいつもより大きかった。いくら大谷でも、強力打線のアストロズが相手では、甘く入ればやられる。

メジャーでホームラン王を争いながら、10勝に挑むのだから、その重圧と疲労は想像を超える。シーズンも最後の最後で一番しんどいところ。前回登板の疲労も大きく、下半身の疲れがフォームを少し狂わせたのではないか。ほんのちょっとのズレなので、体の張りなどのケアをし、メカニックをチェックすれば、次回までに修正は可能だろう。(日刊スポーツ評論家)

4回裏アストロズ1死一、三塁、マドン監督(左)にボールを手渡し降板するエンゼルス大谷(撮影・菅敏)
4回裏アストロズ1死一、三塁、マドン監督(左)にボールを手渡し降板するエンゼルス大谷(撮影・菅敏)