オリックス、ロッテともマジック点灯をかけた直接対決だったが、宮城と佐々木朗という同世代の初めての投げ合いを同じくらい楽しみにしていた。

投球練習する佐々木朗希とマウンドの宮城大弥(撮影・渦原淳)
投球練習する佐々木朗希とマウンドの宮城大弥(撮影・渦原淳)
オリックス対ロッテ 力投するオリックス先発の宮城(撮影・渦原淳)
オリックス対ロッテ 力投するオリックス先発の宮城(撮影・渦原淳)

登録抹消明けの宮城は本来の状態ではなかった。疲労回復のために間隔を空けたと思うが、抹消前数戦の登板から傾向が出ていたように腕の振りが緩かった。初回のレアード、2回の中村奨と低めに制球されたチェンジアップだったが、うまく拾われてしまった。体のキレがないから、腕の振りが緩み、直球が走らず、決まるはずのチェンジアップに対応される悪循環だった。

ただ苦しい投球の中でも課題としていた左打者の内角を突こうとする場面はあった。マーティンに3球ほど意識的に内角に直球を投げた。左打者に外角へ踏み込ませなくできるし、レベルを上げるために長い目で継続した方がいい。高卒2年目で1年間ローテを守り、疲労もたまる時期だが、CSも控え、次回登板で状態を上げてほしい。

オリックス対ロッテ 力投するロッテ先発の佐々木朗(撮影・渦原淳)
オリックス対ロッテ 力投するロッテ先発の佐々木朗(撮影・渦原淳)

佐々木朗は初めて中6日での先発だったが、点差もあり余裕を持って投げていた。変化球が全体の5割と多い印象だった。それでも直球が常時155キロ前後と速いため、打者は直球をマークせざるをえなくなる。変化球も一定でストライクゾーンに入るため、速球派だが四球で崩れることも少ない。

感心したのは5回1死で福田にフルカウントで、高めのストライクゾーンから低めのストライクゾーンに落とすフォークを意識的に投げて見逃し三振を奪っていた。続く宗はボールになるフォークで空振り三振に仕留め、2年目ながら2種類のフォークをしっかりと投げ分けている。

これから2人の投げ合いは何度となく見ることができるだろう。ライバル心を燃やして高め合ってほしい若き両腕だ。

そしてマジックはロッテに点灯したが、最後の3試合ぐらいまでは優勝の行方は分からないだろう。結局は精神論かと言われるかもしれないが、ここからは精神力、集中力が上回った方が勝者となる。(日刊スポーツ評論家)