広島3連覇監督の緒方孝市氏(53=日刊スポーツ評論家)が今季、セ・リーグの激闘を予想した。16日、昨季日本一に輝いたヤクルトの浦添キャンプを訪問すると沖縄市で行われた古巣・広島とDeNAの実戦も視察。今季を展望した。【構成=編集委員・高原寿夫】

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ユニホームを脱いでから初めて他球団を訪問した昨年のキャンプで古巣の広島、さらに阪神、ヤクルト、そして宮崎のオリックスを回った。そのうち2球団が優勝、阪神も最後まで優勝争いをしたのは個人的には感慨深かった。

その中で日本一になったヤクルト高津監督には祝福するとともに話を聞きたかった。気さくに応じてくれた高津監督は「阪神には最初、歯が立たなかったしギリギリの戦いだったね」と明かした。

話題に上がったのは山田だ。広島監督時代、彼は“気分屋”というと言葉はよくないが気分的に波のある選手ではと思っていた。それがシーズンが進む中で常に集中力を発揮していったのには目を見張らされたもの。高津監督も「哲人はすごい」と強調していたし、やはり中心選手が働くことの意味を感じた。

「大きなマイナスがないのがプラスかな」と高津監督は言った。現在のプロ野球で連覇は簡単ではないと身をもって感じているが、今年も手ごわいチームなのは間違いない。

「台風の目」と感じているのはDeNAだ。広島でともに戦った石井琢朗を始め、生え抜きで優勝を知るメンバーが多く首脳陣で戻ってきた。これは三浦監督にとって大きい。特に石井琢は野球に厳しいし、実力者はそろうものの淡泊なイメージのあった打線を変える可能性がある。

この日の広島戦でもいい攻撃を見せていた。走者のギャンブルスタートという積極性もあれば、バント、犠飛とケース打撃もしっかり取り組んでいる。確実に昨季より強化されるはずだ。

一方の広島は鈴木誠也の抜けた穴をどうするかが注目される。この日、本塁打を放った中村健人、末包昇大の右打ち外野手2人を社会人から補強した。もちろん期待するが、やはり誠也の穴は簡単には埋まらないと感じる。穴を埋める、より新しい打線を作り上げていく考えでいってほしい。

気になったのは若手主体のDeNA戦でナインに少し元気がなかったことだ。主力がそろうまでにアピールしなければならないのは当然。そこには声出しを始め、元気の良さは必須条件のはずだが、それが感じられなかった。いずれにしても今季のセ・リーグ、いつもながら簡単な戦いではないと強く思っている。