阪神の主軸として03、05年に優勝した今岡真訪氏(47)が23日、沖縄・宜野座キャンプを視察した。日刊スポーツ評論家に復帰した同氏にとって、現地を訪れるのは7年ぶり。Vのキーマンになる4番候補の大山悠輔内野手(27)に「全試合出場」「3割、30本、100打点は当たり前」とハッパをかけた。【聞き手=寺尾博和編集委員】

久しぶりに訪れた沖縄宜野座キャンプはあいにくの雨降りでしたが、とてもなつかしかった。阪神で育った人間としてはファームの選手が汗を流している高知安芸にも愛着があります。

現役時代の思い出を問われてもすぐに答えることができないのは、曲がりなりにも阪神、ロッテで計7シーズンのコーチ業を積んできたからでしょうか。どうしても指導者としての視点でグラウンドを見てしまうものですね。

ファームでコーチだった16年、新人の高山はキャンプ2軍スタートだったが最終的に新人王に輝きました。ピッチャーでは藤浪がその年から下降線を描いている。当時かかわった後輩の動向は特に気になります。

ずっともがいた秋山が復活した。投内連係の練習に入った青柳は、どこに送球のボールがいくか分からなかった(笑い)。それが最多勝ですよ。プロセスを知っているだけに、ここにきての成長は努力のたまものだと思います。

苦しんでいるという点においては、大山もその1人でしょう。コーチ2年目の17年にルーキーだった彼にはメチャクチャ期待しているんです。大山に満点をつけるのは「3割、30本、100打点」の成績を挙げたときです。

打者としてそれを目標に掲げるのは当たり前です。でも一方で指導者として学んだのは、チームの勝利と、個人が数字を残すのは別ものという教えでした。チームとして、大山が2割5分、20本、80打点でも優勝することは可能なのです。

そこはいかに打線を組むかという、現場の力量にかかってくる。だからもう1人のキーマン、佐藤輝との打順がポイント。バランスとオーソドックスな考えでいうと、2人とも早打ちのほうだから並べたくはない。

つまり大山、佐藤輝の間には、じっくりボールを見るタイプの打者を挟みたい。4番争い? まったく興味ないです(笑い)。だって矢野監督の腹の中では、もう決めているはずですから。佐藤輝はみてないから分かりませんが、大山には全試合に出続けろと言ってあげたいですね。

新外国人が来日していないし、だれをストッパーに起用するかの懸案はありますが、他球団と比較しても戦力はそろっています。「優勝しかない」という考えに変わりはないです。(日刊スポーツ評論家)

20日、阪神対中日 9回裏阪神1死、中越え二塁打を放つ佐藤輝(撮影・上田博志)
20日、阪神対中日 9回裏阪神1死、中越え二塁打を放つ佐藤輝(撮影・上田博志)
阪神宜野座キャンプを訪れた今岡氏は中継ブースで解説する(撮影・上田博志)
阪神宜野座キャンプを訪れた今岡氏は中継ブースで解説する(撮影・上田博志)