DeNAを相手に敵地で勝機はあるのか。日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(69)がCSファーストステージ(8日開幕、横浜)を前に、猛虎に緊急提言した。不安の残る守備や苦戦が予想される打線について、言及。佐藤輝明内野手(23)の3番起用を軸とした上位打線の編成で、先行逃げ切りの必勝パターンを掲げた。【聞き手=田口真一郎】

   ◇   ◇   ◇

短期決戦では、打力というのは当てにできない。計算が立つのは、投手力、守備力、走力だ。阪神の投手力が高いのは言うまでもない。守備は懸念材料だが、シーズン中も言い続けた通り、不慣れポジションで使わないことだ。CSでは、1つのミスがより敗戦につながる。現状の顔ぶれを見れば、佐藤輝が右翼、一塁は原口で大山三塁が最も安定している。原口はバント処理で積極的な動きを見せており、ファームでしっかりと練習してきたことがうかがえる。大山は開幕当初は三塁を守っていた。その後、起用しなかったのが残念だが、戻すべきだ。外野はやはり不慣れで、打球を確認してから動くので、どうしてもスタートが遅れる。原口は外せないだろうし、三塁起用が妥当だ。

打線でいえば、チームが最も勢いに乗っていた時期は1番から中野-島田-近本の並びだ。シーズン終盤に形を変えたが、機動力を生かせる、このオーダーが基本形だろう。ただし、私の考えでは、もう1つのプランがある。1番近本、2番中野、3番佐藤輝という上位打線だ。近本が3番に座るのは、長打力という点で弱い。さらに出塁しても、4番、5番が打席に立つ状況で、盗塁を狙いづらくなる。

佐藤輝に関しても、6番なら次の打者との兼ね合いで相手バッテリーも「歩かせていい」とボール球の割合が多くなる。積極的に打ちにいくタイプで、ボール球に手を出すことが増える。3番なら、次が4番大山ということで、簡単には歩かせられないので、配球も変わってくる。佐藤輝なら脚力もあるし、機動力という面でも見劣りしない。島田を7番に置けば、下位打線で自由に盗塁を狙えて、1番近本で走者をかえすというパターンもできる。

6番以降の打力が落ちるかもしれないが、上位打線に戦力を集中して、一気に先取点を狙うのもありではないか。短期決戦では、先取点の重みが違う。1点でも2点でも先に取って、投手力を生かして、先行逃げ切りを図る。今季DeNAとは相性が悪いが、そこに勝機を見いだしたい。