あんな柔和なオリックス宮内義彦オーナーの顔は、最近ではあまり見たことがない。29日のロッテ戦(ZOZOマリン)を観戦。試合後に取材に向かった。テーマは当然、5月に負けが込むチーム状況についてだ。いつもの激辛コメントが飛び出すのかと思いきや、違った。足を止め、腕を組みながら語り始めた。

 「久しぶりに勝ったね。連敗したのはウチが弱くなったのか、相手が大変強いのか、どっちやろ? ガハハハ」。9連敗を止めた試合ということもあり、意外なゴキゲンぶり。こちらが面食らってしまった。

 5月はロメロら故障離脱者が多かったことに理解を示すと、こう付け加えた。「シーズンはまだこれから長いから。まあ頑張って欲しい」。終始、穏やかだった。開幕戦に敗れ「あの守備は何ですか。毎日勝っていかないと」と話した厳しい顔とは正反対だった。

 そこには、福良監督をはじめとするチームへの信頼が感じ取れた。昨年は最下位だった監督を続投させ、中長期的な視野で再建を託す考えを明かしている。5月に急失速してしまったが、4月の進撃ぶりも総帥の脳裏に深く印象づけられているのだろうと感じた、数分間の取材だった。【オリックス担当=大池和幸】