ロッテ井口資仁内野手(42)が20日、今季限りでの現役引退を表明した。チームメートやスタッフには、その日の練習冒頭に円陣で伝えた。多くの選手が驚きを口にする中、しんみりと語ってくれたのが、前里史郎用具担当兼ブルペン捕手(41)だ。

 「涙が出ちゃいます。そういう日が来たんだと」。

 青学大の1学年後輩で、練習パートナーとして接してきた。井口が最初に入団したダイエーでもチームスタッフとして携わっており、付き合いは20年以上になる。野球人・井口をもっとも知る1人だ。「憧れであり、尊敬する方でした。自分に厳しくて、野球が大好き。自分のことだけでなく、常にチームのことを考えていた。故障があっても、若い人の見本にならないといけないからと、ケガを押して試合に出ていました」と話してくれた。さらに、こう続けた。「井口さんは言葉じゃないんです。自分のやるべきことを分かっている。取り組む姿勢を、周りの選手も見ているんでしょうね」。背中で示すタイプなのだ。

 角中は、打席での姿勢を学んだ。「井口さんは低めの変化球を全然、振らない。直接、アドバイスをもらったわけじゃないですが、まねしないといけないと思いました」。清田も、試合に出なくてもベンチで声を出す姿に学ぶものがあったという。

 交流戦を終え、借金25の最下位。井口は、自らの引退発表を「起爆剤」と表現した。角中は「最下位で引退させるわけにはいかない」。背中で語る男の言葉は重い。【ロッテ担当=古川真弥】