高校野球を共に過ごした3年間の絆は固い。広島野村が「普通の人間には耐えれんよ」と笑った。聞けば母校広陵で共に汗を流したチームメートに、卒業後に自衛隊に入隊、レンジャー隊員になった“猛者”がいると言う。脱落者が数多く出る訓練にも耐えて合格。広陵魂を発揮した。野村も刺激を受けていた。

 野村が熱っぽく語ったのは、水とナイフだけを持たされて山に放り込まれる訓練。何も食べられない日も多いが、ヘビなどの野生動物を捕獲出来れば、ナイフでさばいてたべる。「毒ヘビかどうかは見たら分かる。毒ヘビじゃなければ、ここをかませるんだって」と、左手の親指の付け根を右手でつまむ。ヘビは一度かむと歯が抜ける。安全にしてから、さばくという。

 野村は「広陵のときから彼は鬼メンタルだった」と言う。ボーイズリーグでの全国3位を引っさげて入学。秋の1年生大会では主戦捕手だったがプレー中に左手を負傷。レギュラーを巨人小林に譲ったという。野村とは寮で同部屋。互いを尊敬する間柄は今も変わらない。「年に1回は同窓会で集まるし、近況報告もする。みんな大切な仲間です」。粘りの投球の神髄は、仲間かもしれない。【広島担当=池本泰尚】