今季は故障者続出で苦しんだ日本ハムだが、開幕前に予言めいた不思議な出来事があったという。3月のある日、のちに侍ジャパン監督となる稲葉篤紀氏の札幌市内の自宅に、若手の主力メンバーが招待を受けていた。

 12月20日に札幌市内で行われたトークショーに参加した中田によると、招待されたのは「僕とハルキ(西川)、近藤、翔平、タク(中島)」の5選手。ピンと来た方もいるのではないだろうか。この5人全員が今季、故障離脱を余儀なくされたのだ。中田は「アレは失敗でしたね…。みんながケガしましたからね」とジョークを込めて振り返った。大先輩による激励の意味を込めた食事会は、「失敗」と冗談交じりに語られるような会食に位置づけられてしまった。

 あらためて振り返ると、5人の中で最初に戦列を離れたのは大谷。4月8日に左太もも裏肉離れを負い、復帰まで約2カ月半を要した。その直後には中田が股関節を痛め、10日間の登録抹消。5月上旬には中島が左かかと痛を発症。8月末にも右脇腹を痛めて2度の離脱を経験した。6月上旬には打率4割台をキープしていた近藤が腰痛で戦列を離れ、ヘルニアの手術まで受けた。最後は9月30日に全試合出場を続けていた西川が左ふくらはぎに死球を受け、残り5試合を欠場した。

 もちろん、直接的な因果関係はないだろうが、開幕前に同じ場所に集められた5選手に災難が訪れるとは…。ちなみに主催者である稲葉監督は「失敗した。もう、やらない」と言っているという。

 中田は稲葉監督と家族ぐるみで交流を続け、毎年開幕前に自宅へ招待してもらっているとのこと。「その延長で誰か後輩を呼んだらということでしたので。稲葉さんの家は大きいですから、料理を作る人も呼んで、その場で調理してもらって。稲葉さんに呼ばれた時は、本当にスケールの違う食事会です」と、常日頃から大先輩に感謝は絶えないが、「でも、全員ケガです(笑い)」。

 けが人が重なり、たまたま今回は「デス食事会」として振り返られることになったが、果たして来季は-。全員がシーズンを通してフル稼働すれば、きっと日本ハムもエンゼルス大谷にも歓喜の秋がやってくるはず。実現すれば、稲葉監督邸で祝勝会を開催し、17年の悪夢を笑い飛ばしてもらいたい。【日本ハム担当=木下大輔】